歯列矯正で頭痛・肩こりや姿勢が改善する?!

こんにちは。ピュアリオ歯科・矯正歯科 院長の湊です。
矯正治療によって偏頭痛や肩こり、姿勢が改善するかのようにカウンセリングが行われるクリニックがあるようですが、注意が必要です。

それらの症状は、原因は複雑で専門家の医師でも改善は難しいものです。慢性的な頭痛や肩こりを持つ方に理想的な嚙み合わせに歯列矯正を行っても、根本的にそれらの症状が改善するということは言い切ることはできないでしょう。大学でも矯正歯科の教科書でもそのような効能は習いません。

もし、歯列矯正のカウンセリングで上記のような症状が明確に改善するかのような説明を受けた場合、頭頚部の広い痛みや不具合は口腔領域と同じ三叉神経領域で感知される関連がある故に、歯列や咬合の改善が全くの無関係とは言いきれないという、希望的拡大解釈を伝えられていると言えるかもしれません。上記症状の根本的な原因がさも歯列や咬合の不正にあるかのように、多くの方に、一般的な矯正治療の効能としてカウンセリングしていたとすれば、優良誤認となってしまうでしょう。

上記は多くの方が悩まれている症状であり、歯科においても関連の研究は様々行われている内容かと思いますし、一歯科医師としてそのような症状を持つ方を歯科的治療で根本的な改善ができるのであればどんなに素晴らしいことかと思いますが、研究が進み将来それらの症状の原因として明確に示せ、根本的な治療の一つとして科学的に根拠を持って言えるケースでなければ、治療する側もされる側も双方にがっかりしてしまう結果となってしまいます。

記事の結論となりますが、咬合的に問題がある方で生理的な範囲を越えるトゥースコンタクトハビットによる不具合がある方の場合等は、一定の症状改善の可能性はあれど、原因が多岐に渡る頭痛や肩こり、姿勢の改善における一般的な根本的治療とはとても言い難く、歯列矯正治療のカウンセリングでそれらの症状が良くなると安易に伝えるのは患者様に大きな誤解を与え兼ねない内容かと、私は思います。

開院8年目キャンペーン。ピュアリオ歯科・矯正歯科

症状改善への期待と現実

歯の問題が原因であるとされる場合もありますが、実際には頭痛・肩こりや姿勢の問題は複合的な要因によって起こります。したがって、矯正治療がこれらの症状を解決する必要十分な方法ではありません。

生理的安静空隙(せいりてきあんせいくうげき)について

生理的安静空隙とは、安静時(特に意識していない普段の状態)において、口を閉じている時に上下の歯と歯はくっついておらず約2㎜~3㎜程度のスペースが存在しています。

上下の歯がくっつく時は食事の時や会話の時に接触するくらいで、生理的には一日通常20分程度と言われています。パソコンをしていたり仕事をしてる時に無意識に長時間上下の歯を接触させていませんか?

これらをトゥースコンタクトハビットと呼びます。

トゥースコンタクトハビット(TCH)-歯牙接触癖による不具合について

TCHは、歯と歯の接触や咬合に関する習慣や癖を指し、噛みしめが起こると筋肉の緊張や疲労、顎関節への負担が増え歯や口腔組織にも様々な不具合を引き起こす可能性があります。

朝起きたときに顎が疲れるとか、歯の違和感、口が開きにくくなるなどの症状が出たり、顎関節症になる場合もあります。 特徴として、頬粘膜(頬の内側の粘膜)に、上下の歯の接触するところに合わせて白い線が見られたり、舌の側面に歯の痕がついたりもします。

<TCHによる口腔内への悪影響>
• 臼歯(奥歯)や前歯の摩耗が進む
• 歯の一部や歯のかぶせものが破損する(欠ける)
• 歯冠にひびが入る
• 歯頚部にくさび状欠損が生じる→知覚過敏の原因!
• 充填物(詰め物)が取れる
• かぶせものの表面に穴が開く
• 歯槽骨の肥大化
• 歯の根が割れる
• 歯が歯槽骨に沈み込む
• 生理的ではない歯の揺れが生じる(歯根膜の拡大)
• 歯肉の後退→知覚過敏の原因!
• 歯並びの乱れ
• 頬の内側に歯型がつき、頬をかむ原因となってしまう
• 舌に歯の圧痕が残る

TCHの改善法

TCHは無意識の行動であるため、自覚することが難しいです。そのため、歯科医師などから指摘されて気付くことが一般的ですが、無意識の習慣なのですぐに改善することは難しいかもしれません。

そのため、意識的にこの習慣を改善する必要があります。
例えば、パソコンなど作業をしている場所に「歯を接触させない!リラックス!」といったメモを付箋などを使って貼ります。もし歯が接触していたら、すぐに歯を離し、深呼吸をしてリラックスしましょう。これだけでもTCHの改善に有効です。

ナイトガード(マウスピース)の有効性

眠っている時にもTCHがある方は歯ぎしりをしたり、食いしばりをしたりしてしまいます。

実は起きている時のTCHより眠っている時のTCHの方が力が強く、ひどい方は体重の二倍もの力がかかってしまっている方もいます。

このような激しい歯ぎしり食いしばりは、当然上記のような不具合を生じる大きなリスクとなりますので、ナイトガード(マウスピース)を装着することを強くお勧めします。

歯ぎしりが激しい方は、数ヶ月でマウスピースが磨耗したり割れたりしますが、そのダメージを歯や顎関節の代わりに受けてくれた証拠です。

まとめ

頭痛や肩こりの歯科的な要因としては、歯並びの問題というよりむしろTCHによる長時間嚙んでしまっていること自体による不具合が、長時間の筋の緊張を生じ、結果として頭痛や肩こりなどの悪化の原因となります。

ですので、通常安静空隙があって、上下の歯はほとんど接触していないので、歯並びを改善したからと言って姿勢が良くなったり頭痛や肩こりが改善するというカウンセリングは合理的ではありません。

ましてその治療に特化した矯正治療など存在しません。もし仮にそのような効能を全面に押し出し集客していたり、カウンセリング時に説明するクリニックにはくれぐれもご注意いただきたいと思います。

歯科領域において、上記を改善したいとお考えなのであれば、TCHに対する改善という観点で日常を意識する必要があります。

意識できない寝ている間に関しては、ナイトガード(マウスピース)が非常に有効になってきます。そのような観点からTCHがある方の矯正治療としてはマウスピース矯正はその効果を担ってくれますので、当院の患者様でも上記のような症状が軽くなったというお声をよくお聞きします。

当院はマウスピース矯正専門クリニックとして延べ2100件以上の症例数があり、インビザラインのブラックダイヤモンドドクターに認定されています。マウスピース矯正にご興味をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

\ 最短4ヶ月のマウスピース矯正 /

開院8年目jキャンペーン。インビザライン矯正最大30万OFF。