部分矯正で出っ歯は治せる?できない症例や治療法を詳しく解説

こんにちは。東京都港区にあるピュアリオ歯科・矯正歯科のスタッフです。

「自分の出っ歯は治せるのか?」「できるだけ安く治療したい」と考えている方にとって、部分矯正は費用が安く、治療期間も短いため、気軽に治療を始められる選択肢です。

しかし、出っ歯の状態を正しく理解しておくことが、最適な治療法の選択に繋がります。本記事では、出っ歯の種類やその影響、具体的な治療法や症例について詳しく解説します。ぜひご参考ください。

出っ歯について

1. 出っ歯とは

出っ歯とは、上の顎(あご)の前歯や骨が正常な位置よりも前に出過ぎている状態のことをいいます。別名「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」といいます。

日本人に比較的多いのが特徴です。出っ歯は、バードフェイス(鳥貌)と呼ばれることもあります。

通常上の前歯は、下の前歯よりも2~3mm程度出ています。しかし4mm以上出ている場合、「出っ歯の傾向あり」と診断されます。学校保健法の治療対象の基準値は、7~8mm以上の差がある場合とされています。

2. 出っ歯の種類

日本人の12.9%が、出っ歯であると言われています。不正咬合(悪い歯並びのこと)の中で、2番目に多いのが出っ歯です。ここでは出っ歯の種類について、解説します。

2-1. 骨格性上顎前突(骨格に問題がある出っ歯)

骨格に問題がある出っ歯のことを、骨格性上顎前突といいます。この状態は、上顎の骨が成長し過ぎたり、下顎の成長が抑制されている場合に起こります。

一見歯並びに問題がなさそうでも、出っ歯に見えるケースがあります。それは、この骨格性上顎前突の可能性があります。例えば骨格以外に前歯自体も傾く場合も多く、歯槽性と併発型するケースもあります。

2-2. 歯槽性上顎前突(歯並びに問題がある出っ歯)

歯槽性上顎前突とは、歯並びに問題がある出っ歯です。これは、骨格上の問題ではなく、前歯が傾斜することで突出してしまうパターンです。また下の歯列との間に隙間ができやすく、口腔内が乾燥しやすいという特徴があります。

本来唾液には、口の中の汚れを洗い流し、清潔に保つ作用があります。しかし口の中が乾燥し唾液の量が減少すると、虫歯や歯周病の原因歯が繁殖しやすくなってしまいます。

歯槽性上顎前突の多くは、骨格による出っ歯よりも矯正できる割合が高く、治療をおススメします。

3. 出っ歯による健康への影響

3-1. 虫歯や歯周病になりやすい

出っ歯はコンプレックスの原因になるだけでなく、健康面にも影響を及ぼします。

例えば、出っ歯による口呼吸で口の中が乾燥しやすくなります。そのため唾液の量が少なくなり、歯ほ再石炭化が停滞し、虫歯になりやすくなります。

再石炭化とは、口の中に溶けだしたカルシウム等のミネラル成分を、再度歯に取り込むことです。また口の中の汚れや細菌も洗い流されにくくなり、歯周病のリスクも高まります。

3-2. 顎関節症になるリスク

一般的に噛み合わせが悪い出っ歯は、あごに負担がかかります。例えば前歯で噛みにくいため、奥歯に頼る傾向があります。また前歯だけでなく、奥歯のかみ合わせも良くない場合もあります。

それらの結果、あごへの負担が増えて、顎関節症になるリスクが高まります。

3-3. 胃腸への消化負担が増える

本来前歯には、食べ物を小さく噛み切る役割があります。しかし前歯がうまく噛み合わないと、噛み切るのが困難になり、奥歯ですり潰すだけになります。

その結果、よく噛めないまま食べ物が飲み込まれ、胃腸への負担が増えてしまいます。

3-4. 頭痛や肩こりの原因になる

噛み合わせが悪いと、顎関節症や夜間の歯ぎしりが起こり、あごへの負担も大きくなる傾向があります。このあごの筋肉への負担は、体全体のバランスに影響し、頭痛や肩こりの原因になる可能性があります。

出っ歯の治療法

1. 固定式矯正

1-1. 表側矯正(ワイヤー矯正)

表側矯正は、まず歯の表側にブラケットと呼ばれる矯正器具を装着します。そしてそのブラケットにワイヤーを通すことで矯正します。

この表側矯正は、軽度から重度まで幅広い症例に対応できます。ただし矯正器具が目立ってしまうことと、矯正器具が口の中をを傷つける恐れがあります。

1-2. 裏側矯正(ワイヤー矯正)

裏側矯正は、裏側にブラケットとワイヤーをする矯正方法です。表側矯正と同じ装置を使って行いますが、周囲から矯正していることが分からないというメリットがあります。

また表側矯正よりも審美性が高く、比較的早く前歯部分の歯並びが改善できます。ただし歯の裏側に装着するので話しづらくなり、表側矯正よりも費用が高額になる傾向があります。

2. 取り外し式矯正(マウスピース矯正)

マウスピース矯正では、治療できる出っ歯と治療できない出っ歯の2種類があります。例えば「骨格に問題がない」「前歯の重なりが少ない」「前方への突出が軽度」な出っ歯は、マウスピース矯正で治療が可能です。

またマウスピース矯正で出っ歯を治すには、抜歯を行う場合と行わない場合があります。その判断基準は、前歯を後方に動かすためのスペースがあるかどうかです。ピュアリオ歯科では、なるべく非抜歯での矯正を行っております。

マウスピース矯正には、既製品を使用する治療と、オーダーメイドのマウスピースを使用する治療があります。後者の有名ブランドには、インビザラインがあります。出っ歯の治療の場合、既製品では難しいことが多いです。治療を検討されている方は、無料相談の活用をおススメします。

3. セラミック矯正

セラミック矯正は、治療したい箇所の歯を削り、セラミック製の被せ物を入れます。そうすることで、歯並びや歯の形、大きさを整える治療方法です。

歯科矯正は装置をつけて歯を動かしますが、セラミック矯正は歯を動かす必要がありません。つまり、歯科矯正とは全く異なる治療方法になります。

セラミック矯正で改善が見込めるのは、「前歯が前方に傾いてる」「歯が大きい」場合です。逆に「前歯の傾きが大きい」場合は、改善が困難になる可能性があります。

セラミック製の人工歯を使って歯並びを整える審美治療です。見た目の美しさが向上し、美人度やイケメン度がアップすることも期待できますが、治療のメリットとデメリットをしっかり理解しておくことが大切です。

関連記事:セラミック矯正について

出っ歯の部分矯正について

1. 部分矯正で治せる出っ歯のパターン

部分矯正で治せる出っ歯は、一般的に軽度の場合です。具体的には、以下のような場合です。

  1. 噛み合わせが正常な状態である
  2. 歯並びの乱れの原因が骨格ではない
  3. 歯が重なり合っている部分は少ない

上記に該当する場合、出っ歯の部分矯正ができる可能性が高いといえます。

2. 部分矯正で治せない出っ歯のパターン

部分矯正で抜歯が必要な場合、骨格の原因があると外科的処置が必要になります。具体的には、以下のような場合は部分矯正ができない可能性があります。

  1. 出っ歯などで前歯の凸凹が大きい
  2. すきっ歯で噛み合わせに問題がある場合
  3. 八重歯・叢生
  4. 開咬
  5. 受け口で骨格に問題のある場合

ただし、上記のような場合でも部分矯正ができる場合もあります。

部分矯正のメリットとデメリット

1. 部分矯正のメリット

部分矯正には、以下のようなメリットがあります。

  1. 費用が安く済む
  2. 治療期間が短い
  3. 痛みが比較的少ない
  4. 気軽に治療を始めることができる

患者さんの症例による治療範囲によって、費用は異なります。ただしほとんどの症例において、全体矯正よりも費用が安くなることは確かといえます。

2. 部分矯正のデメリット

部分矯正には、以下のようなデメリットがあります。

  1. 治療できない症例がある
  2. スペース確保のために、歯列拡大や歯の間を削る可能性がある
  3. 虫歯や歯周病の恐れがある
  4. 見た目は整うが、かみ合わせ等全体を動かす効果は期待できない
  5. 症状によっては理想的な横顔にならない可能性がある

部分矯正は、全体矯正と比較すると、対応できる症状や治療内容は限られます。症状が強すぎたり、骨格に問題がある場合、かみ合わせにズレがある場合などは部分矯正で対応できない可能性があります。

全体矯正のメリットとデメリット

1. 全体矯正のメリット

全体矯正には、以下のようなメリットがあります。

1.理想的な歯並びと噛み合わせが得られる

全体矯正は、歯列全体を対象に矯正を行うため、単に見た目だけでなく、噛み合わせの改善にも大きな効果があります。正しい噛み合わせを得ることで、食事や会話がより快適になり、将来的な歯の摩耗や顎関節への負担も軽減できます。

2.幅広い症例に対応可能

全体矯正は、軽度の歯列不正から複雑な噛み合わせの問題まで、幅広い症例に対応できます。部分矯正では治療できない骨格的な問題や噛み合わせのズレも、全体矯正でしっかりと修正することが可能です。

3.長期的な安定性

全体矯正によって、歯全体のバランスが整うため、治療後も歯並びが長期間安定しやすくなります。部分矯正に比べ、再度の矯正やリテーナー使用期間が短くなる可能性があります。

4.理想的な横顔やフェイシャルバランスの改善

全体矯正では、歯列だけでなく、フェイシャルバランスも考慮した治療が可能です。これにより、正面からの見た目だけでなく、横顔や顎のラインも改善され、理想的なフェイスラインを目指すことができます。

2. 全体矯正のデメリット

全体矯正には、以下のようなデメリットがあります。

1.治療費が高額になる

全体矯正は部分矯正に比べて治療範囲が広く、費用が高額になる傾向があります。使用する装置や治療の複雑さによって費用は変動しますが、予算面では部分矯正よりも高くなります。

2.治療期間が長くなる

全体矯正は、歯列全体を動かす必要があるため、治療期間が2年から3年以上かかることがあります。部分矯正に比べて長期間の通院が必要になり、患者さんにとっては時間的な負担が増える可能性があります。

3.矯正器具による不快感や痛みが持続する場合がある

全体矯正は広範囲にわたって歯を移動させるため、矯正器具による不快感や痛みが部分矯正よりも長く続くことがあります。特に装置に慣れるまでの最初の数週間や、調整後には痛みを感じることがあるでしょう。

4.日常生活への影響

矯正器具の装着期間が長くなるため、口内の違和感や食事の制限、発音の変化など、日常生活に影響を与えることがあります。また、適切な口腔ケアをしないと虫歯や歯周病のリスクが高まるため、治療中の衛生管理が重要です。

まとめ

症状が軽く、「前歯だけ整えたい」といった場合は、部分矯正でも対応可能なことが多いですが、かみ合わせや歯列全体バランスを考慮すると全体矯正が必要なことが多いです。そのため、短期間・費用が安いという理由だけで部分矯正を選択せずに必ず歯科医師の診断を複数のクリニックで受け、ご自身にあった治療法を検討することが大切です。ワイヤー矯正ではなく、マウスピース矯正の場合、ドクターの技術や経験しだいではありますが、治療期間を抑え、その分費用を抑えられるクリニックもあります。

そこで大事なのが、確かな技術力があり、安心できる歯科医院選びです。ピュアリオ歯科・矯正歯科は、院長がインビザラインの世界サミットで表彰されたトッププロバイダーで累計症例数は2,400件以上あります。(2024年9月時点)

また歯並びだけでなく、形態修正を含めた総合的な見た目を改善することを心がけているだけでなく、全体矯正であっても短期で治療を終えられるように費用を抑えたプランをご提案させていただいております。

少しでもご興味があれば、無料相談をご利用いただけますと幸いです。

監修歯科医師


6年連続 インビザライン ブラック・ダイヤモンド認定
医療法人社団ピュアスマイル 理事長 湊寛明

経歴

私立 広島学院高等学校卒業 国立 九州大学歯学部卒業・歯学学位取得 九州大学病院研修医 終了 埼玉県 オレンジ歯科クリニック 栃木県 丹野歯科医院 山口県 みなと歯科医院 副院長 大手矯正歯科グループ 院長 ピュアリオ歯科・矯正歯科 田町三田院 設立 医療法人社団ピュアスマイル設立、理事長就任 

ご挨拶

誰もが憧れる白くて美しい歯で、個人の魅力を最大限に引き出し、 一生涯、歯の疾患で歯を一本も失うことのない未来を創る。

歯の見た目の美しさはもちろん、人が一生涯、長期的かつ健康に機能できるものとなるように、かみ合わせも力学的に良好な治療を考え、総合的な歯科の知識と予防的な概念で治療をしていくのが本当の矯正・矯正歯科治療です。 歯科治療は医療の中でも、医師の考え方や感性・技術、医院の設備によって結果が大きく変わる業界です。 既に神経の治療がされていたり、見た目や適合の悪い大きな被せものが入っていれば話は別ですが、美しさを手に入れるためだけに必要以上に健康な歯を削り、神経を取ってまで無理やりセラミックの被せものをする必要はありません。 患者さまの望む最大の効果を合理的で正しい考え方と治療方法で結果を出すとともに、生涯歯の健康を維持しそこから全身の健康につなげていただけることが何より大切だと思っています。 患者さまのお悩みやご要望をお聞きし、最善の結果となるよう治療をご提案いたします。