マウスピース矯正は痛い?どのくらい?治療中の痛みの原因と対処法を解説

マウスピース矯正は、見た目が目立たないため人気の矯正方法ですが、「痛い」という声も少なくありません。

では、この痛みを感じる原因は何なのでしょうか?また、その痛みはどのくらいのものなのでしょうか?

さらに、その痛みを軽減する方法はあるのでしょうか?

この記事では、これらの疑問について、科学的な視点から解説します。ワイヤー矯正との比較も行い、マウスピース矯正のメリットとデメリットを理解した上で、自分にとって最適な矯正方法を選ぶ一助となる情報を提供します。

マウスピース矯正は痛い?

歯並びの矯正を考えるとき、痛みは回避できないテーマの一つです。とくに最近人気が集まっているマウスピース矯正については、「本当に痛いのか?」という疑問を抱く方も多いでしょう。ここでは、そんな皆さんの疑問を解消すべく、マウスピース矯正とは何か、痛みを感じる人の割合、そして痛みの程度について詳しく説明していきます。

マウスピース矯正とは何か

マウスピース矯正は、透明な樹脂製のマウスピースを用いて歯を少しずつ動かし、理想的な位置に矯正する治療法です。従来のワイヤーを使った矯正と比べて、見た目に目立たないことや取り外しが可能なことから、仕事や学校生活に影響を与えずに歯並びを矯正することが可能です。

しかし、その一方で、一部の患者からは装着に伴う違和感や痛みの報告があります。これらの症状は主に初めてマウスピースを装着した時や、新しいマウスピースに切り替えた時に出ることが多いです。しかし、これは歯が動くことによる自然な反応であり、時間とともに徐々に軽減します。

痛みの程度:どのくらい痛いのか

マウスピース矯正の痛みの程度は、個々の感じ方や矯正が必要な状況により大きく異なります。一部の患者は、新しいマウスピースを装着した直後の「軽い圧迫感」を「痛み」と表現することがあります。他の患者は、歯が動くことによる「軽い痛み」を経験するかもしれません。

これらの症状は多くの場合、矯正開始後の最初の数日間に現れ、その後すぐに軽減します。痛みが強い、または長期間続く場合は、歯科医師に相談することが重要です。

マウスピース矯正が痛い原因

マウスピース矯正治療における痛みは、多くの人々が避けられない現実です。しかし、その痛みの背後には具体的な原因があります。装着の際の痛み、矯正中の痛み、さらに痛みを増強させる可能性のある要因について理解することで、効果的な対策を講じることが可能になります。

装着の際の痛み

マウスピース矯正は、歯を理想的な位置に移動させるために微細な力を使用します。新しいマウスピースを装着するとき、この微細な力によって歯が少しずつ動かされます。この歯の動きが引き起こす圧力が、装着の際の痛みや違和感の主な原因です。

また、新しいマウスピースは前回よりも少しタイトな設計となっており、歯に適応するための一時的な圧力を感じることがあります。しかし、この痛みは通常数日で減少し、完全に消えることも多いです。

矯正中の痛み

マウスピースを装着している間、一定の圧力が歯にかかり続け、歯を徐々に動かすことで矯正を行います。この一定の圧力が原因で、矯正中も一部の患者は痛みを感じます。矯正初期の頃は特に感じやすいものの、多くの人は数日から一週間で体が適応し、その後はほとんど感じなくなると報告しています。

痛みの増強要因

痛みの程度は人により大きく異なりますが、それを増強する要因も存在します。一つは、マウスピースの装着時間が不規則であることです。マウスピースは一日の大半を通して装着することで最大の効果を発揮しますが、頻繁に取り外すと歯が元の位置に戻ろうとし、再度装着するときに痛みを感じやすくなります。

また、口腔内の健康状態も痛みの増強要因となることがあります。歯周病や虫歯などの口腔疾患が存在すると、マウスピース矯正中の痛みが増すことがあります。これらの疾患は、歯や歯茎がマウスピースによる圧力に対して敏感になるためです。したがって、マウスピース矯正を開始する前に、口腔内の健康状態をチェックし、必要な治療を受けることが重要です。

マウスピース矯正の痛みを軽減する方法

マウスピース矯正の痛みに悩んでいる人々にとって、その痛みを軽減する方法は非常に重要な情報となります。口腔内ケアの重要性、マウスピースの適切な管理方法、そして適切な休息とストレス管理について理解することで、痛みを軽減し、より快適な矯正治療を進めることが可能になります。

口腔内ケアの重要性

口腔内の健康状態が良好であることは、マウスピース矯正の痛みを軽減するためには非常に重要です。口腔内の疾患、特に歯周病は痛みを増強する可能性があります。そのため、ブラッシングとフロスを毎日丁寧に行うこと、定期的に歯科医師の診察を受けることが推奨されます。さらに、マウスピースを取り外す際には必ず清潔な手で行い、マウスピース自体も定期的に清掃することが重要です。

マウスピースの正しい管理方法

マウスピースの適切な管理も、痛みの軽減に寄与します。マウスピースは、指示された時間以上に装着し続けることで最も効果的に働きます。一方で、装着時間が不足すると歯が元の位置に戻ろうとし、再度マウスピースを装着する際に痛みを引き起こす可能性があります。

また、マウスピースを清潔に保つことが重要です。歯磨きをする前にマウスピースを外し、食事の際には必ず取り外すようにしましょう。これらの習慣がマウスピースを清潔に保ち、痛みの原因となる可能性のある細菌の蓄積を防ぎます。

休息とストレス管理

適切な休息とストレス管理も、マウスピース矯正中の痛みを軽減するための重要な要素です。適切な休息は、体全体のリカバリーを促進し、痛みに対する耐性を高めます。また、ストレスは体の緊張を引き起こし、それが痛みを感じやすくする可能性があります。したがって、十分な休息を取るとともに、リラクゼーションテクニックを活用することでストレスを軽減することがおすすめです。これには、深呼吸、瞑想、ヨガなどが含まれます。これらは、心身の緊張を和らげ、痛みをより適切に管理するのに役立ちます。

マウスピース矯正の痛みで眠れない場合の対処法

マウスピース矯正の痛みが夜間の睡眠を阻害する場合もあります。良好な睡眠は、体の修復作業を助け、ストレスを軽減するために不可欠です。しかし、その痛みが眠りを阻む場合、その対処方法を知っておくことが重要となります。以下では、眠りを阻む痛みの対処法、リラクゼーションテクニック、そして痛みが強い場合の対応について詳しく解説します。

眠りを阻む痛みの対処法

マウスピース矯正による痛みが夜間に増える原因の一つは、日中の活動により気が紛れ、痛みを感じにくくなる一方で、夜間は静寂な状態となるため痛みを強く感じることが挙げられます。

この痛みを和らげる一つの対策として、矯正装置を睡眠の少し前に装着する方法があります。矯正力が最も強く働く最初の数時間は、起きている間に過ごすことで、痛みが眠りを阻むのを防ぐことができます。

さらに、適度な運動を日常的に行うことも有効です。運動は全身の血流を改善し、痛みを和らげる自然なエンドルフィンを体内で分泌させます。

リラクゼーションテクニック

痛みによるストレスや緊張を解放するためのリラクゼーションテクニックも、夜間の痛み対策として有効です。リラクゼーションテクニックとは、深呼吸、瞑想、ヨガ、音楽療法などのリラクゼーション方法を指します。これらは身体と心にリラクゼーションの状態をもたらし、緊張やストレスを解放し、体の自然な回復力を高めます。

痛みが強い場合の対応

もし痛みが非常に強く、上記の方法でも和らげられない場合は、歯科医師に相談することが必要です。歯科医師は痛みが生じている原因を特定し、適切な対策を提案できます。その対策には、矯正力を少し下げる、マウスピースの装着時間を調整する、または痛みを軽減するための薬を処方するなどが含まれます。

痛みが続く場合は、それが口腔内の他の問題の兆候である可能性も考えられます。このような場合も、早めに歯科医師への相談が重要です。

マウスピース矯正治療中の痛みと注意点

マウスピース矯正の治療は、適切なケア方法、正しい装着方法、そして定期的な歯科医師の診察など、いくつかの重要な注意点があります。これらは、痛みを軽減し、治療結果を最大限に引き出すために欠かせません。以下では、これらの注意点について具体的に説明します。

適切なケア方法

マウスピース矯正は、日々のメンテナンスが必要です。マウスピースを毎日きれいに保つことは、口腔内のバクテリアを減らし、痛みや不快感を抑えるために不可欠です。毎日、マウスピースを取り外したら、歯ブラシと水で優しくブラッシングしましょう。しかし、石鹸や洗剤は使用しないでください。これらの製品はマウスピースの素材を損傷し、口内に影響を及ぼす可能性があります。また、マウスピースを外したときには、専用のケースに保管し、紛失や破損を防ぐことも重要です。

正しい装着方法

マウスピースの正しい装着方法を理解していることも、治療の成功に大きく寄与します。マウスピースを正しく装着するには、まず最初に手を洗い、マウスピースを手に取ります。次に、マウスピースを優しく口腔内に挿入し、それを優しく押し込むか、または噛み締めることで位置に合わせます。力を入れすぎて押し込むと、マウスピースが損傷する可能性があるため、注意が必要です。また、マウスピースの取り外し時も、ゆっくりとやさしく引き出すことが重要です。

定期的な歯科医師の診察

マウスピース矯正の治療中は、定期的な歯科医師の診察が必要です。これにより、治療の進行状況をチェックし、必要に応じてマウスピースの調整を行います。また、歯科医師は、痛みや不快感が増加している場合、それが何らかの問題の兆候である可能性を早期に特定できます。また、新しいマウスピースに変更するタイミングも、歯科医師の指示に従うことが重要です。

マウスピース矯正の痛みとやってはいけないこと

マウスピース矯正の痛みを管理するためには、何をすべきかだけでなく、何をすべきでないかも重要です。装着時間の無視、無理な食事、ケアの怠慢など、一部の行為はマウスピース矯正の痛みを増幅させ、治療の成功を妨げる可能性があります。以下で詳しく説明します。

装着時間の無視

マウスピース矯正は、指示された時間だけ着用することが重要です。一般的に、マウスピースは1日に20〜22時間着用することが推奨されます。ただし、食事や歯のブラッシングのためには一時的に取り外すことが可能です。装着時間を短縮すると、歯が所定の位置に移動しないため、治療期間が延長されたり、予想した結果が得られなかったりする可能性があります。また、長時間の着用を急に短縮すると、歯への圧力が急に減少し、不快感や痛みが増えることがあります。

無理な食事

マウスピースを装着しているときに硬い食べ物を食べてしまうと、マウスピースが破損したり、不適切な圧力が歯にかかる可能性があります。そのため、食事の際にはマウスピースを外すことが推奨されています。また、硬い食べ物や粘着性のある食べ物は、特に装着直後は歯に圧力をかけ、痛みを引き起こす可能性があります。これらの食べ物は避け、ソフトな食事を選ぶことで、口腔内の不快感を軽減できます。

ケアの怠慢

マウスピースのケアを怠ると、バクテリアの増加、口臭、口腔内の不快感や痛みを引き起こす可能性があります。これらの問題は、日常的なマウスピースの洗浄とメンテナンスを通じて防ぐことができます。毎回食事の後や就寝前には、マウスピースを温水と歯ブラシで優しく洗い、乾燥させることが重要です。また、マウスピースを装着する前には、必ず歯を磨いて口腔内を清潔に保つことも忘れないでください。

マウスピース矯正とワイヤー矯正の痛みの違い

矯正治療の選択肢はマウスピース矯正だけではありません。従来からのワイヤー矯正も依然として広く使用されています。しかし、これらの方法はそれぞれ異なる特徴と痛みを伴います。以下では、ワイヤー矯正の特徴と痛み、マウスピース矯正とワイヤー矯正の痛みの違い、そしてどちらの方法を選ぶべきかについて詳しく説明します。

ワイヤー矯正の特徴と痛み

ワイヤー矯正は、金属のブラケットとワイヤーを使用して歯を所定の位置に移動させる方法です。歯科医師は定期的にワイヤーを調整し、次第に歯を正しい位置に動かします。この方法は強力で、大きな歯列の問題を解決するのに適しています。

しかしながら、ワイヤー矯正は一部の人々にとっては痛みを伴うことがあります。ワイヤーやブラケットが唇や頬を刺激すると痛みを感じたり、口内炎を引き起こしたりすることがあります。また、定期的な調整の際には一時的な歯の圧痛が生じることがあります。

マウスピース矯正とワイヤー矯正の痛みの比較

マウスピース矯正とワイヤー矯正の最も大きな違いは、治療の可視性と痛みの程度にあります。マウスピース矯正は透明で、装着した状態でもほとんど見えません。また、一般的にはワイヤー矯正よりも痛みが少ないと報告されています。ただし、歯を動かす初期段階や、新しいマウスピースに交換した直後には、一時的に痛みを感じることがあります。

一方、ワイヤー矯正は見た目に明確に見え、ブラケットやワイヤーによる口腔内の刺激から来る痛みや不快感があります。また、調整の際に一時的な痛みが生じることが多いです。

どちらを選ぶべきか

マウスピース矯正とワイヤー矯正のどちらを選ぶべきかは、個々の患者の状況と目的によります。マウスピース矯正は、見た目を気にする人や比較的軽度から中程度の矯正が必要な人にとって良い選択肢です。一方、ワイヤー矯正は、重度の歯列不正を修正する必要がある場合や、より積極的な治療が必要な場合に適しています。

いずれの矯正方法も、適切なケアと管理により、痛みは最小限に抑えられます。治療の選択は、歯科医師との詳細なカウンセリングを通じて最終的に決定すべきです。

まとめ:マウスピース矯正の痛みを理解する

これまでの議論を通じて、マウスピース矯正の痛みについて深く理解することができました。以下では、痛みの原因と対処法、痛みを最小限に抑えるためのポイント、そして成功する矯正治療のために重要なことを再確認します。

痛みの原因と対処法の再確認

マウスピース矯正の痛みは主に歯の移動や圧力によるもので、新しいマウスピースを装着した直後や、マウスピースの調整の際に特に感じられます。しかし、適切なケアと管理、そして休息とストレス管理により、この痛みは軽減可能です。

痛みを最小限に抑えるためのポイント

痛みを最小限に抑えるためには、まずはマウスピースの正しい装着と管理を学ぶことが重要です。マウスピースはきちんと清掃し、指定された時間だけ装着することが必要です。さらに、口腔内の適切なケアも痛みの軽減に役立ちます。

成功する矯正治療のために

成功する矯正治療のためには、定期的な歯科医師の訪問が欠かせません。歯科医師は治療の進行状況を確認し、必要に応じてマウスピースを調整します。また、痛みが強い場合や、痛みにより睡眠を妨げる場合は、早急に歯科医師に相談することが必要です。

最後に、マウスピース矯正は見た目に気にする人や軽度から中程度の矯正が必要な人にとって良い選択肢です。しかし、重度の歯列不正の修正が必要な場合や、より積極的な治療が求められる場合は、ワイヤー矯正の選択も考慮すべきです。これらは個々の患者の状況と目的によりますので、詳細なカウンセリングを通じて最終的な決定を下すことが重要です。

以上のことを心に留めて、マウスピース矯正をより良い体験にしましょう。

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監修歯科医師


6年連続 インビザライン ブラック・ダイヤモンド認定
医療法人社団ピュアスマイル 理事長 湊寛明

経歴

私立 広島学院高等学校卒業 国立 九州大学歯学部卒業・歯学学位取得 九州大学病院研修医 終了 埼玉県 オレンジ歯科クリニック 栃木県 丹野歯科医院 山口県 みなと歯科医院 副院長 大手矯正歯科グループ 院長 ピュアリオ歯科・矯正歯科 田町三田院 設立 医療法人社団ピュアスマイル設立、理事長就任 

ご挨拶

誰もが憧れる白くて美しい歯で、個人の魅力を最大限に引き出し、 一生涯、歯の疾患で歯を一本も失うことのない未来を創る。

歯の見た目の美しさはもちろん、人が一生涯、長期的かつ健康に機能できるものとなるように、かみ合わせも力学的に良好な治療を考え、総合的な歯科の知識と予防的な概念で治療をしていくのが本当の矯正・矯正歯科治療です。 歯科治療は医療の中でも、医師の考え方や感性・技術、医院の設備によって結果が大きく変わる業界です。 既に神経の治療がされていたり、見た目や適合の悪い大きな被せものが入っていれば話は別ですが、美しさを手に入れるためだけに必要以上に健康な歯を削り、神経を取ってまで無理やりセラミックの被せものをする必要はありません。 患者さまの望む最大の効果を合理的で正しい考え方と治療方法で結果を出すとともに、生涯歯の健康を維持しそこから全身の健康につなげていただけることが何より大切だと思っています。 患者さまのお悩みやご要望をお聞きし、最善の結果となるよう治療をご提案いたします。