マウスピース矯正できない7つのケース!適応しない理由と最適な治療法を解説

皆さん、こんにちは。東京都港区にあるマウスピース矯正専門クリニック、ピュアリオ歯科・矯正歯科のスタッフです。

マウスピース矯正を検討している方が抱える大きな不安は、「自分に適用できるのか?」という点ではないでしょうか。

例えば、「今の歯並びがマウスピース矯正で治せるのか」「できないと言われたらどうしよう」といった心配が尽きないことでしょう。透明で目立たず、痛みも少ないことから人気のマウスピース矯正ですが、実は対応できる症例に限りがあるのが現実です。

そこで本記事では、マウスピース矯正が適用できない歯並びを具体的に解説します。

マウスピース矯正とは

マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正装置ではなく、透明なマウスピース型の装置を使って歯を動かす矯正方法です。歯並びの見た目を気にすることなく、比較的快適に矯正治療を進められる点が特徴です。

特に透明で目立たず、周囲の人に気づかれにくいのがメリットです。また、食事や歯磨きの際に取り外しができるため、口腔内の衛生を保ちやすい点も魅力です。さらに、ワイヤー矯正と比べて痛みが少なく、快適に装着できるのも特徴です。ただし、マウスピース矯正は比較的新しい治療法であり、クリニックによって治療結果に差が出ることがあるため、注意が必要です。

マウスピース矯正できない症例7つ

1. 先天的な骨格に問題がある場合

歯並びの乱れにはさまざまな原因がありますが、その一つが先天的な骨格の問題です。例えば、あごが前に突き出しているような場合、歯科矯正だけでは対応が難しいことがあります。このような場合、歯科矯正と外科手術を組み合わせて治療を行う方法が考えられます。外科手術であごの骨格を整え、歯並びは歯科矯正で治療することで、効果的に改善できるケースがあります。

2. 重度の受け口・出っ歯・凸凹の場合

マウスピース矯正は、歯を大きく平行に移動させるのが難しいという特性があります。例えば、「重度の受け口」や「重度の出っ歯」、「ガタガタの歯(叢生)」などで大幅に歯を動かす必要がある場合、マウスピース矯正では対応できないことがあります。

受け口には、上顎が後ろに下がっているケースと、下顎が前に出ているケースの2種類があります。いずれも顎(骨格)の問題が原因であるため、マウスピースで歯並びを改善するのが難しい場合があります。また、重度の叢生(そうせい)は、歯の大きさと顎の大きさのバランスが崩れて部分的に歯が重なってしまう状態です。この場合も、マウスピースによる矯正が難しいことがあります。

大幅な歯の移動が必要な場合、ワイヤー矯正やワイヤー矯正とマウスピース矯正を組み合わせたハイブリッド矯正が選択肢となります。詳細については後述します。

3. 親知らず以外の埋伏歯がある場合

親知らず以外に埋まっている歯がある場合、マウスピース矯正での治療が難しくなります。埋伏歯(まいふくし)とは、歯の頭部があごの骨や歯肉に埋まっている歯のことを指します。1本から数本、さらには多数の歯が埋伏している場合もあります。ただし、親知らずが埋伏している場合は、高い確率でマウスピース矯正に対応できます。

埋伏歯を引っ張り出す治療を「埋伏牽引」といいます。この治療には、ワイヤー矯正が一般的に用いられます。

4. 重度の歯周病がある場合

歯周病は、歯を支えている歯ぐきや骨が細菌感染によって炎症を起こし、徐々に破壊される病気です。むし歯が歯そのものを侵食するのに対し、歯周病は歯を支える組織を破壊します。初期症状としては歯ぐきの腫れや歯磨き時の出血があり、進行すると歯を支える骨が溶け、歯がぐらつき、最終的には抜け落ちることがあります。

重度の歯周病であごの骨が溶けている場合、マウスピース矯正はもちろん、あらゆる歯科矯正が難しくなります。これは、安定して歯を動かすために必要な歯槽骨の再生が困難なためです。ただし、軽度から中等度の歯周病であれば、歯周病を治療してからマウスピース矯正を行うことが可能です。

5. インプラントがたくさん入っている場合

インプラントとは、あごの骨に埋め込む人工の歯根を持つ治療法です。歯を失った方や生まれつき歯がない方でも、人工歯を持つことが可能になります。しかし、インプラントはあごの骨に固定されており、動かすことができません。インプラントの数や位置によっては、マウスピース矯正が可能な場合もありますが、多くのインプラントがある場合、マウスピース矯正は難しくなります。

6. 永久歯が生え揃っていない場合

マウスピース矯正は、基本的に永久歯を対象に行われる治療法です。したがって、永久歯がまだ生え揃っていない子どもには、マウスピース矯正が適さない場合があります。ただし、最近では3D検査機器を使用した子ども向けのマウスピース矯正もあり、将来の歯列をシミュレーションしながら治療を進めることが可能です。

7. 1日20時間の装着時間を守れない生活スタイル

マウスピース矯正では、1日20時間の装着時間を守れないと、計画通りに歯が移動しない可能性があります。マウスピース矯正の効果を最大限に引き出すためには、装着時間が非常に重要です。装着時間が短い場合、歯の移動が遅れ、結果的に治療期間が長引くことがあります。

マウスピース矯正できない場合の他の治療方法

1. ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、最も一般的で症例実績の多い矯正方法です。具体的には、歯にブラケットと呼ばれる装置を装着し、ワイヤーを通して歯に力を加え、少しずつ歯を動かしていきます。

マウスピース矯正と同様に、出っ歯や受け口、歯並びの乱れなど、さまざまな歯並びを改善できます。相応の経験と技術を持つ歯科医師が治療を行えば、マウスピース矯正とワイヤー矯正の適応症例に大きな差はありません。そのため、当院ではマウスピース矯正を選択するメリットが患者様にとって多いと考えています。

2. ハイブリッド矯正

ハイブリッド矯正とは、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の良いところを組み合わせた矯正治療法です。ワイヤー矯正の「強く歯を動かす」機能と、マウスピース矯正の「目立ちにくい」という特徴を併用することで、効果的な治療を行うことができます。

患者さんの歯の状況や希望に応じて、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の割合を調整することが可能です。例えば、歯の移動が難しい部分にはワイヤー矯正を使用し、細かい調整にはマウスピース矯正を使用するという治療計画も可能です。

マウスピース矯正が得意としない動きをワイヤー矯正で補完することで、効率的に歯を動かすことが可能になります。その後マウスピース矯正に移行すれば、目立たない矯正治療を実現することができます。

3. インプラント

インプラントは、歯を失った場合に、あごの骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。天然の歯と同様にしっかりと噛むことができ、見た目も自然なため、多くの患者さんに支持されています。

ただし、インプラントは歯根膜が存在しないため、歯を動かすことができません。インプラントが多く入っている場合、動かせない範囲が広がり、マウスピース矯正やワイヤー矯正が難しくなることがあります。

矯正治療は、歯と骨の間にある「歯根膜」を利用して歯を動かしますが、インプラントにはこの歯根膜がないため、装置で力をかけても歯を動かすことができません。そのため、歯列矯正を行う際には、インプラント治療を行う前に矯正治療を行うことが推奨されます。ただし、大臼歯にインプラントが施されている場合でも、前歯のみを動かす部分矯正は可能です。

マウスピース矯正できない場合のよくある質問

1. マウスピース矯正ができないのはなぜですか?

マウスピース矯正は、歯に力をかけて少しずつ動かす治療法です。そのため、歯の移動量が多いケースや骨格的な問題があるケースでは、マウスピース矯正だけでは十分な治療効果を得られないことがあります。これらのケースでは、ワイヤー矯正や外科的処置が必要になる場合があります。

2. どんな場合にマウスピース矯正が難しいですか?

重度の歯並びの乱れ、骨格的な問題、歯周病、歯の根が短い場合、または歯を大きく移動させる必要があるケースなどが挙げられます。このような場合、マウスピース矯正が難しい、もしくは適さないことがあります。ただし、最近ではワイヤー矯正とマウスピース矯正の適応症例に大きな差はなくなってきています。複数のクリニックで診断を受け、最適な治療法を確認することをおすすめします。

3. マウスピース矯正で八重歯は治せますか?

八重歯は、叢生(ガタガタ歯)の一種です。重度の八重歯の場合、マウスピース矯正での治療が難しいことがあります。具体的には、犬歯と他の歯の重なりが6~7mmを超えると、マウスピース矯正では治療が困難になることがあります。ただし、個々の症例によって異なるため、まずは無料カウンセリングを利用して、ご自身の状況に応じた最適な治療方法を確認することをおすすめします。

4. マウスピース矯正に年齢制限はありますか?

歯列矯正には基本的に年齢制限はありません。新陳代謝が良い若年層の方が歯が動きやすい傾向はありますが、歯やあごの骨に問題がなければ、年齢に関係なく治療を受けることが可能です。当院では、永久歯が生え揃っていないお子様向けの矯正も行っていますので、気軽にご相談ください。

お子様の矯正に関する詳細はこちらをご覧ください。また、嘔吐反射で矯正治療を迷っている方にはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

日本人の歯の美しさに対する意識は、近年大きく向上しています。厚生労働省の統計によれば、歯科矯正の初診数は2017年から2022年にかけて3.6倍に増加しています。このように、美しい口元を目指す方が増える中、マウスピース矯正は非常に人気のある治療法です。

しかし、どんな治療方法でも、その期間は長くなることが一般的です。ご自身の歯並びやその他の状態をしっかりと共有し、理想の歯を目指して一緒に取り組める最適な歯科医院を見つけることが大切です。

ピュアリオ歯科では、LINE通話やZoomによる無料カウンセリングを実施しています。少しでもご興味があれば、お気軽にお問い合わせください!

監修歯科医師

インビザライン ブラックダイヤモンドドクター インビザライン・ジャパン株式会社(旧アライン・テクノロジー社)認定 医療法人社団ピュアスマイル 理事長

湊 寛明

私立 広島学院高等学校卒業 国立 九州大学歯学部卒業・歯学学位取得 九州大学病院研修医 終了 埼玉県 オレンジ歯科クリニック 栃木県 丹野歯科医院 山口県 みなと歯科医院 副院長 大手矯正歯科グループ 院長 ピュアリオ歯科・矯正歯科 田町三田院 設立 医療法人社団ピュアスマイル設立、理事長就任 日本矯正歯科学会日本成人矯正歯科学会/日本舌側矯正歯科学会/世界舌側矯正歯科学会/ヨーロッパ舌側矯正歯科学会/国際インプラント学会/日本口腔インプラント学会/日本歯科審美学会/日本歯周病学会/日本臨床歯周病学会/日本補綴歯科学会/日本口腔外科学会/日本アンチエイジング歯科学会

ご挨拶

誰もが憧れる白くて美しい歯で、個人の魅力を最大限に引き出し、 一生涯、歯の疾患で歯を一本も失うことのない未来を創る。

歯の見た目の美しさはもちろん、人が一生涯、長期的かつ健康に機能できるものとなるように、かみ合わせも力学的に良好な治療を考え、総合的な歯科の知識と予防的な概念で治療をしていくのが本当の矯正・矯正歯科治療です。 歯科治療は医療の中でも、医師の考え方や感性・技術、医院の設備によって結果が大きく変わる業界です。 既に神経の治療がされていたり、見た目や適合の悪い大きな被せものが入っていれば話は別ですが、美しさを手に入れるためだけに必要以上に健康な歯を削り、神経を取ってまで無理やりセラミックの被せものをする必要はありません。 患者さまの望む最大の効果を合理的で正しい考え方と治療方法で結果を出すとともに、生涯歯の健康を維持しそこから全身の健康につなげていただけることが何より大切だと思っています。 患者さまのお悩みやご要望をお聞きし、最善の結果となるよう治療をご提案いたします。

医療法人社団ピュアスマイル 理事長 湊 寛明