インビザライン・ライトの特徴は?「フル」「GO」との違い・比較も紹介|マウスピースの部分矯正

インビザライン・ライトの特徴は?「フル」「GO」との違い・比較も紹介|マウスピースの部分矯正

こんにちは。ピュアリオ歯科・矯正歯科 院長の湊です。
インビザライン矯正、特にインビザラインによる部分矯正をお考えの方には、是非読んでご参考にして頂けたらと思い、一般的なインビザラインパッケージの商品としての特徴の説明ではなく、多くのマウスピース矯正治療を経験してきたドクターとしての視点で、業界の実情を踏まえながらやや本質的なインビザラインに関するご説明を記事にしてみました。

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インビザライン・ライトとは

インビザライン・ライトとは、インビザラインによる部分矯正をお考えの方であれば、広告やクリニックのカウンセリングで、インビザライン・ライトやインビザラインGO等のインビザライン社が提供するパッケージのご説明を見聞きされたご経験があるかと思います。

今回は特にインビザライン・フル、インビザライン・ライト、インビザラインGOと比較しながら、ご説明させて頂きます。

インビザライン・ライト

インビザライン・ライトは、1回の「型取り→3Dシミュレーション作成(歯の並び、動きの治療計画)→マウスピース製造→患者様使用」のサイクルにおいて(以下これを便宜的に1クールと表現します)、1クール最大14枚のマウスピースを用いて行うインビザラインのパッケージとなります。

インビザライン・フル

インビザライン・フルは1クールの枚数制限、歯の動きに制限はありません。

インビザライン・ライトも同様に、14枚以内であれば歯の動かし方に制限は無く、ドクターが全ての歯をどのように動かしていくか、ドクター自身で分析し手動でシミュレーションを組むことが可能で、1クールで用いる枚数以外はインビザライン・フルで用いられるマウスピースと性能に違いはありません。一般的には部分矯正や比較的軽度な歯列不正の症例に用いられることが多いパッケージですが、シミュレーションをドクターが手動で作製できるため、どのような症例に応用されるかはクリニック、ドクターの経験や技術力により応用範囲は全く異なります。

インビザラインGO

インビザラインGOは、前から5番目の歯(第二小臼歯)までしか動かすことができず、シミュレーション(治療計画)もドクター自身で手動で作製することができず、インビザライン社のオートメーションによる治療計画となります。インビザライン・フル、インビザライン・ライトとは根本的に異なり、必然的に前歯のみの極軽度な部分矯正に限られます。全く別の治療と考えるべきかと思います。

一昔前は、講習さえ受ければ矯正治療経験の無いドクターでもインビザライン・フル、インビザライン・ライトを扱うライセンスが貰えました。正確にはインビザラインGOは存在していませんでした。

インビザラインGOが新設され、パッケージが区別された背景には、マウスピース矯正自体が新しい治療であるため、難症例で無くとも上手く治療を遂行できないケースが全国で多数見られたためと考えられます。全ての歯をドクター自身が手動でシミュレーション可能なインビザライン・フル、インビザライン・ライトを扱うライセンスは、基本的に矯正治療経験5年以上であることが条件とされるようになり、インビザラインGOのライセンスを同時に持つことはできません。

インビザラインGOは、基本的にインビザライン・フル、インビザライン・ライトを扱うライセンスを取得する条件に満たないドクターが、極軽度な前歯の不正の改善に限定した部分矯正を行えることを主旨としたインビザラインライセンスとなり、ドクター自身でシミュレーション(治療計画)を手動で組むことができず、インビザライン・フル、インビザライン・ライトのパッケージを一切扱うこと自体できません。この事実は、部分矯正をお考えの方には是非知って頂いた上で、ご自身の歯並びを改善されるための参考にされることを願っております。

インビザライン・ライトのメリット、デメリット

続いてインビザライン・ライトのメリット、デメリットについて見ていきしょう。

インビザライン・ライトのメリット

・1クールでのサイクルが早い。
・部分矯正で利用する場合には、費用を抑えるプランを作り患者様に提供できているクリニックが多い。

インビザライン・ライトは、1クール最大14枚なので、1枚のマウスピースの使用期間を1週間とすると、約3か月半で1クール終了となります。それ故に、マウスピースの不適合が起きやすくなる時期に、早期にそこからベストフィットをするマウスピースで次のクールに移行できます。

極軽度な症例を除き、多くの症例において、マウスピースによる矯正治療は如何なるマウスピースパッケージを用いても1クールで終わりとなることはほとんどありません。

何故なら、1枚のマウスピースを使用する度に、数%の誤差が生じるからです。仮に1枚のマウスピースでシミュレーションの動きに対して97%歯が動いたとしても、1枚で3%、10枚で約27%もの誤差が積み重なって生じてしまい、一見マウスピースが歯に装着可能でも実は歯に適切なフィットをしていないという状態になっています。

そうなると何十枚という多量のマウスピースを1クールで用いると、後半では歯に装着できていたとしても適切な矯正力が歯にかかっていない可能性が高くなる、つまり、矯正効率の悪い期間が非常に長い計画となっている可能性が高くなると考えるべきです。

その結果、シミュレーションの組み方によっては難症例でも無いにも関わらず1クールが一年以上かかったにも関わらず、何度も作り直しの追加クールが必要となり、トータルの治療期間が5年以上かかっているというような話もよく耳にします。

いたずらに1クールでの枚数を増やすより、1クール十数枚のマウスピースで行い、誤差の少ないうちにしっかりフィットするマウスピースを作り替えるという点で、インビザライン・ライトのメリットを最大限活かすことができます。

そのメリットを最大限活かすことができるシミュレーションを、複数クールでの治療予測をした上で組むことができれば、比較的多くの症例においてマウスピース矯正における治療期間を大幅に短くすることが可能です。

インビザライン・ライトのデメリット

・14枚で適切な動きのシミュレーションを組むための知識、技術があることが前提で、ドクター自身が綿密な歯並びを手動でシミュレーション作製する必要がある。
・多くの枚数が必要となる治療計画が必須の症例には用いることが困難。

マウスピース矯正自体が新しい治療となるため、その性能を十分に発揮するシミュレーション(治療計画)を自ら作ることが可能なドクターは必然的に限られてきます。

インビザラインのシステム上、患者様の歯並びのデータを送るとインビザライン社によるオートメーションによる一見キレイな歯並びのシミュレーションが作られてきて、それに対してドクターが指示改善を加えて作製するというのが一般的で、一から十までドクターが分析した結果を元に手動で3Dシミュレーションを作製するということは、非常に稀です。

率直に包み隠さず言ってしまえば、他人が作った治療計画に少しドクターが指示を加えただけの装置が用いられている場合が多いということです。それではインビザライン・ライトの性能は最大限活かすことはできません(インビザライン・フルでも言うまでもありませんが)。

マウスピース矯正の成功において、クリニック側が最も大切にすべきはシミュレーション作製であり、相当な時間を必要とし、技術を落とし込んで作製されるものです。オートメーションで平均的に作られるべきものではありません。

14枚で適切な動きのシミュレーションを組むための知識、技術があることが前提で、ドクター自身が綿密な歯並びを手動で3Dシミュレーションを自分で一から作製できるようになるためには、数百症例のマウスピース治療「完了」の経験のあるドクターでも簡単ではないと考えています。

ネット上でよく見るインビザラインダイヤモンドドクターなどのステータスは、あくまでインビザラインの治療を「開始」した症例数によって与えられるステータスなので本質的な意味ではドクターの経験値や技術力にはなりません。

残念ながら、現在のマウスピース矯正業界では、14枚の制約があるインビザライン・ライトの性能を、予測性を持って最大限応用できるドクターは限られる、というのが実情です。

結果、インビザライン・ライト=前歯の部分矯正という位置付けで、インビザラインGOと同様に使用されるクリニックが多くなり、ネット上でもそのような扱いでの説明が目立ちます。しかし、本来、インビザライン・ライトはインビザラインGOとは本質的に全く異なるシミュレーション(治療計画)を作ることが可能なパッケージです。

最近、インビザライン・ライトでは適応が難しかった、比較的多くのマウスピースの枚数が必要なケースには、1クール最大26枚まで使用可能、ドクターの手動による制限の無いシミュレーション作製可能なインビザライン・モデレートというパッケージが新しくインビザライン社より発売されました。

インビザライン・ライトのデメリットの一つを解消し、より多くの症例を合理的にアプローチできる非常に使いやすいパッケージかと思いますので、応用が期待され、筆者も積極的にシミュレーションを組んでおります。

インビザライン・ライトの特徴は?
「フル」「GO」との違い・比較も紹介|
マウスピースの部分矯正に関するまとめ

インビザライン・フル、インビザライン・ライト、インビザラインGOと比較しながら、インビザライン・ライトに関してマウスピース矯正業界の実情を踏まえて、多くのマウスピース矯正経験を積んできたドクターの視点寄りの記事となってしまいましたが、インビザライン・ライトを部分矯正として使用し、費用を抑えたプランを提供するための一手段にするという使い方が一般的に全国の多くのクリニックでの使い方あり、またそれが患者様におきましても広くそのメリットを最大限ご活用できることかと思いますので、特に部分矯正をお考えの方のご参考になればと願っております。

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