矯正の後戻りは10年後でもある?その原因と再矯正の必要性や後戻りしないリテーナーについて

ピュアリオ歯科・矯正歯科 理事長の湊です。

先日ご来院された患者様より「矯正治療後10年経って後戻りしてしまった、なぜでしょうか?」というご質問をいただきました。矯正を検討されている方の多くは、「矯正後の後戻り」に対して疑問や不安を持たれている方も多いのではないかと思います。

そこで、この記事では歯列矯正後の後戻りがなぜ起きるのか?その原因と、それを防ぐための方法について一般的な解説をしますが、私はこれまで12年で4000人以上の患者様のマウスピース矯正をお手伝いしそのうち3500人以上の方の治療を完了させてきましたが、適切なケアを行っていれば後戻りする可能性は限りなく低いと考えています。

マウスピース矯正はワイヤー矯正と比べても新しい治療法であるがゆえ、治療計画を立てるドクターの経験や技術、その後のアフターケアの指導などによって仕上がりはもちろんのこと、後戻りするリスクは大きく変わります。せっかく矯正という大きな投資をしたにもかかわらず後戻りしてしまい再矯正を検討するという方が減るようこの記事が医院選びの参考になれば幸いです。

なぜ、矯正後に「後戻り」が起きるのか?

矯正治療が終わったあと、せっかくきれいに並んだ歯が元の位置に戻ろうとする現象を「後戻り」といいます。これは決して珍しいことではなく、どんな矯正方法であっても一定のリスクがある自然な反応です。

その主な原因は以下の通りです。

1. 歯周組織が安定するまでに時間がかかるため

歯を動かすと、その周囲にある骨(歯槽骨)や歯茎、靱帯といった組織も一緒に変化します。しかし、これらの組織が新しい位置で安定するまでには数ヶ月から数年かかるため、何もしなければ歯は元の位置に戻ろうとする性質があります。

2. 舌・唇・頬などの筋肉の圧力

日常生活で無意識にかかる舌や唇、頬の筋肉の力も歯並びに影響を与えます。矯正前の筋肉のクセが残っていると、その力によって歯が元の位置に押し戻されることがあります

3. 成長や加齢による変化

子どもや10代の患者様では、その後の成長に伴う骨格の変化が後戻りを引き起こすことがあります。また、大人でも加齢とともに咬み合わせや歯の位置が微妙に変化することがあります。

4. リテーナー(保定装置)の装着不足

矯正後に使用するリテーナーは、動かした歯をその位置に保つために非常に重要な装置です。装着時間が不十分であったり、途中でやめてしまったりすると、後戻りのリスクが高まります

10年という期間を考えると後戻りというよりも口腔内の経年的な歯列の変化が行っている可能性が高いです。いわゆる「矯正の後戻り」というと2年以内に起こってくることがほとんどだからです。

保定装置(リテーナー)はなぜ必要なのか?

矯正治療で歯を理想的な位置に動かしたあと、その状態を長く安定させるために欠かせないのが「保定装置(リテーナー)」です。治療後すぐにリテーナーを使わずに過ごしてしまうと、せっかく整えた歯並びが後戻りしてしまうリスクがあります。

では、なぜリテーナーが必要なのでしょうか?

1. 歯の周囲の組織が安定するまで支えるため

歯は、歯槽骨(しそうこつ)という骨の中に支えられています。矯正治療で歯を動かすと、この骨や歯を支える靱帯、歯茎などの組織も同時に動きます。しかし、これらの組織が新しい歯の位置に馴染み、定着するには時間がかかります。その間、歯は元の位置に戻ろうとする性質を持っているため、リテーナーでしっかりと支えてあげる必要があるのです。

2. 日常の癖や筋肉の影響から歯を守るため

舌の位置、唇や頬の圧力、噛みしめのクセなど、私たちは無意識のうちに歯に力をかけています。矯正治療前の悪い習慣や筋肉のバランスが残っていると、それが再び歯をずらす原因になってしまいます。リテーナーは、そうした外的な力から歯を正しい位置に維持する役割も担っています。

3. 成長や加齢による変化に対応するため

お子様や成長期に矯正を受けた方は、その後の成長によって顎や骨格が変化します。成人の方でも、加齢に伴う歯の移動やかみ合わせの変化が起こることがあります。これらの変化から歯並びを守るためにも、リテーナーの継続使用はとても大切です。

リテーナーはいつまで装着する必要があるのか?

矯正治療が終わった後、歯並びを維持するためには「リテーナー(保定装置)」の装着が不可欠です。では、そのリテーナーは一体いつまで着け続ける必要があるのでしょうか?

一般的な保定期間は「2年間」で十分と考えています

私自身、これまでに3500症例以上の矯正治療を完了し、多くの患者様の治療後の経過を継続的に確認してきました。その実体験からお伝えすると、骨のリモデリング(再構築)や咬み合わせの安定のために必要な保定期間は「2年間」で十分と考えています。

この2年間、きちんとリテーナーを装着し続けることで、多くの患者様が良好な歯並びを維持されています。

クリニックごとに推奨する使用期間が異なる理由

実際には、「矯正期間の2倍の期間は保定が必要」とするクリニックや、「一生リテーナーを着けてください」と説明するケースもあります。こうした違いの背景には、主に2つの理由があります。

  1. かみ合わせの調整不足
     歯列がきれいに並んでいても、咬合(かみ合わせ)のバランスが不十分であればどんなにリテーナーをつけていても後戻りしてしまう可能性は高まります。

  2. 経年的な口腔内の変化
     矯正を終えた後でも、年齢を重ねることで口の中の環境やかみ合わせは少しずつ変化します。これを「後戻り」と捉え、リテーナーを一生着けるよう案内している場合がありますが、骨や咬合の安定が得られていれば、一生装着し続ける必要はないというのが当院の考えです。

2年以降は「夜間のみの使用」でOK

当院では、保定期間終了後も就寝時のみのリテーナーまたはナイトガードの使用を推奨しています。これは、夜間に無意識のうちに強い歯ぎしりや食いしばりが起こるため、それによる咬合変化や歯列の乱れを予防する目的があります。

特にマウスピース矯正に慣れている方であれば、夜間だけの装着も煩わしさを感じにくく、実際に多くの患者様が快適に継続されています。

再矯正しないために——リテーナーはいつまで装着が必要?

矯正治療を終えた直後、多くの患者様がこう思われます。

「やっと装置が外れた!これで一生キレイな歯並びが続くんだ」

しかし、ここからが本当の勝負です。
リテーナー(保定装置)を正しく装着しなければ、歯は確実に元の位置に戻ろうとします。そして、油断して放置すれば、「再矯正が必要になる」事態すら招きかねません。

なぜ歯は後戻りするのか?

歯は単に動かしただけでは安定しません。動かした後も、歯を支える骨や周囲の組織が新しい位置に馴染むまでに時間がかかるためです。この“安定するまでの期間”を「保定期間」と呼び、リテーナーでその位置をキープする必要があります。

また、舌・唇・頬などの無意識の力、歯ぎしり・食いしばり、年齢によるかみ合わせの変化も、歯並びに影響を与えます。矯正後の歯並びは“放っておけば必ず変化する”という前提が必要です。

当院に実際に寄せられた「再矯正希望」のご相談

私たちのもとには、リテーナーの装着を指導されなかった、あるいは早期にやめてしまったことで歯並びが乱れ、再治療を希望される患者様からのご相談が後を絶ちません。
その多くが、「もう一度やり直さなければならないとは思っていなかった」という言葉と共に、不安や後悔を抱えていらっしゃいます。

リテーナー装着期間の現実的な目安

では、再矯正を避けるためにリテーナーはいつまで装着すべきなのでしょうか?

私の12年以上、3500件以上の症例をもとに申し上げると、

  • 保定期間としては、毎日しっかりと装着する期間は「おおよそ2年間」で十分

  • その後は、「夜間のみの装着」をできるだけ長く継続するのが理想

この「夜間リテーナーの習慣」が、再矯正を回避するカギです。
特に就寝中の歯ぎしりや食いしばりは歯列に大きな力をかけるため、ナイトガード的な役割も果たす夜間リテーナーの活用は、歯列維持に非常に効果的です。

価格重視の矯正でリテーナーが“オプション”になっていませんか?

最近では、低価格を売りにした矯正サービスで、リテーナーが「オプション扱い」になっているケースも見受けられます。これは非常に危険です。
リテーナーは治療の一部であり、「後戻り防止」のために必須の工程です。これを軽視してしまえば、いずれ再治療の負担が自分に跳ね返ってきます。

まとめ

まとめとしてお伝えしたいのは、マウスピース矯正を見た目の改善だけにとどまらず、正しい咬み合わせまでしっかりと整える治療として成功させるには、高度な知識と技術、そして多くの臨床経験が欠かせないという点です。この分野は、まさにマウスピース矯正の技術が結集される領域だと感じています。

私自身、日本でマウスピース矯正が普及し始めた初期の段階から治療に取り組み、これまでに12年以上の実績と3,500件を超える治療経験を積み重ねてきました。また、矯正後のリテーナー使用状況についても継続的に経過観察を行っており、多くの患者様が安定した良好な状態を維持されており非常に喜ばれております。

マウマウスピース矯正や矯正後の後戻りに関してご不安がある方、ぜひ当院へご相談ください。
適切な診断と丁寧なサポートで、理想的な歯並びと咬み合わせを実現できるようお手伝いさせていただきます。

監修歯科医師


6年連続 インビザライン ブラック・ダイヤモンド認定
医療法人社団ピュアスマイル 理事長 湊寛明

経歴

私立 広島学院高等学校卒業 国立 九州大学歯学部卒業・歯学学位取得 九州大学病院研修医 終了 埼玉県 オレンジ歯科クリニック 栃木県 丹野歯科医院 山口県 みなと歯科医院 副院長 大手矯正歯科グループ 院長 ピュアリオ歯科・矯正歯科 田町三田院 設立 医療法人社団ピュアスマイル設立、理事長就任 

ご挨拶

誰もが憧れる白くて美しい歯で、個人の魅力を最大限に引き出し、 一生涯、歯の疾患で歯を一本も失うことのない未来を創る。

歯の見た目の美しさはもちろん、人が一生涯、長期的かつ健康に機能できるものとなるように、かみ合わせも力学的に良好な治療を考え、総合的な歯科の知識と予防的な概念で治療をしていくのが本当の矯正・矯正歯科治療です。 歯科治療は医療の中でも、医師の考え方や感性・技術、医院の設備によって結果が大きく変わる業界です。 既に神経の治療がされていたり、見た目や適合の悪い大きな被せものが入っていれば話は別ですが、美しさを手に入れるためだけに必要以上に健康な歯を削り、神経を取ってまで無理やりセラミックの被せものをする必要はありません。 患者さまの望む最大の効果を合理的で正しい考え方と治療方法で結果を出すとともに、生涯歯の健康を維持しそこから全身の健康につなげていただけることが何より大切だと思っています。 患者さまのお悩みやご要望をお聞きし、最善の結果となるよう治療をご提案いたします。