こんにちは。ピュアリオ歯科・矯正歯科 院長の湊です。
お悩みの歯並びの改善や将来の健康な生活を考えて、時間も費用もかかる矯正治療を決意して始めたにも関わらず、後悔するような結果は当然ですが避けなければなりません。
我々インビザラインを施術する歯科医師も思いは全く同じはずです。では何故、インビザラインで後悔してしまうような事例が調べるとたくさん出てくるのでしょうか?
インビザラインによる矯正治療は適応である患者様に対して、インビザラインの知識と技術を十分持ったドクターが分析結果を元にオーダーメイドで患者様個々のシミュレーション(治療計画)を設計することで非常にメリットの多い治療となります。
患者様側もドクター側も使い方を誤ると、適切な治療結果が出せないばかりか、大きな後悔を生むこととなってしまう治療でもあります。それは何故か?多くのマウスピース矯正治療を経験、完了させてきたドクターとしての視点を加えながら解説していきたいと思います。
この記事でわかること
インビザラインで後悔した人の原因
インビザラインは数あるマウスピース矯正装置の中で、日本ではもちろん、全世界で最も利用されているサービスとなります。
上手く活用できれば、非常にメリットの多い矯正治療が可能となります。しかし、いかなる医療行為にも100点満点のメリットのみの治療は存在せず、必ず治療毎に特有のデメリットも存在します。加えて、マウスピース矯正自体が最新の治療で大きな発展を遂げている途中であるために必然的に起こり得る失敗、悪い言い方をしてしまえば患者様が経験の浅いドクターの実験台となってしまい患者様の後悔につながる様な失敗も、インビザライン自体のデメリットとは別に、現在進行形で起きていることも事実です。
以下にどのような失敗、後悔が起き得るのか、その本質的な原因は何なのかを掘り下げてご説明させて頂こうと思います。
インビザラインで後悔した例①
見た目的に、歯並びが良くならなかった。治療後のイメージが違った。歯茎が大きく下がった。
インビザラインの後悔・失敗の原因①
インビザラインに限らず、マウスピース矯正業界では、ガタガタは改善したものの、出っ歯感のある仕上がりになってしまった、最初にイメージしていた結果と違った、場合によっては歯茎が大きくさがってしまった、歯根が骨から出てきたというような事例が多発しています。
原因として、
適応症例ではないのにインビザラインGO等が用いられた。
最近、適応症例でもないのにインビザラインGOやインビザライン以外の前歯のみしか動かせない安価なマウスピース矯正システムをカウンセリングで勧められていたという事例を多数耳にしているので敢えて最初に挙げます。
インビザラインGOは、前から5番目の歯(第二小臼歯)までを動かすことが可能です。僅かなすきっ歯や極軽度の乱れに対しては、安価にかつドクターの経験値にも頼らず一般のクリニックでも利用可能な非常に優れたシステムだと思います。
しかし、インビザラインGOのシステムでは、シミュレーション(治療計画)はドクター自身が手動で作製することができず、インビザライン社のオートメーションによる治療計画となりますので、主として前歯の極軽度の問題の改善にのみ使用が限定されます。
ところが本来適応されるべきではない、ガタガタの程度の強い症例に対しカウンセリングで治療可能と勧められ、実際に使用されているケースをしばしば見かけます。
インビザラインGOでは、歯のガタガタを並べるスペースの確保の方法が限られるため、ガタガタの程度の比較的強い症例では必然的に歯列を拡大するしかなく、その結果出っ歯感のある仕上がりとなり、そのようなケースでは噛み合わせも悪化する危険性、歯茎が大きく下がる危険性、歯根が歯槽骨から出てしまう危険性がありますので適応するべきではありません。
ご自身でもガタガタの程度や出っ歯感は極軽度ではないなと感じられていて、いくつかのクリニックでカウンセリングを受けられても80~100万円以上はかかるよと言われる中、うちは30~40万円で出来るよと勧められたらそちらを選択したくなりますが、そのような場合には使用されるシステムの確認が必要かもしれません。
一生の見た目と健康を左右する矯正治療。その低価格矯正、本当に低価格ですか?
歯列拡大ありきで歯を並べる計画がなされた。並べてはいけない場所に歯が動かされた。
いかに適切な治療計画が立てられていたとしても、歯を動かす以上、矯正治療自体のリスクとして歯茎が下がってしまうことは考えられます。
しかし、歯槽骨や歯根の事前の評価(術前検査)が十分でない、またはその検査結果がシミュレーション(治療計画)に反映されておらず、歯を並べるスペースを確保したいからと、患者様個々の状態を鑑みず安易に歯列拡大がなされた場合には、取り返しのつかない骨吸収、歯肉退縮が生じてしまうリスクが増加します。
インビザラインのシミュレーションは、3Dで歯の並びだけでなく、動きまで非常に評価のしやすいものとなっていますが、歯槽骨や歯根の「見えない所」は全く評価ができませんので、CT等での十分な精密検査が無く、歯列拡大ありきの治療計画が立てられている場合は大きなリスクを伴います。
この項目を書いた理由として、マウスピース業界において特にこの心配が懸念されたのは、前歯のみの安価なマウスピース矯正システムを提案されるクリニックで、十分な検査も無く、マウスピースを使う前に拡大床の使用ありきで説明され、狭くもない歯列を拡大してから並べましょうと提案するクリニックが多数あるようで、セカンドオピニオンや再治療に来られた多くの患者様のトラブルを耳にしているためです。
十分な経験を持たないドクターによる、奥歯を後方に移動(全ての臼歯を遠心移動)させる計画がなされた。
遠心移動の計画自体が問題なのではありません。健康な歯の抜歯や上記の不用意な拡大によるリスクを避ける方法として用いられるマウスピース矯正の治療方法の1つです。
しかし、治療計画毎にメリット・デメリットが存在し、臼歯遠心移動をシミュレーションで計画されている場合、この計画は相当な適切な治療完了実績をもつドクターが、その知識と技術を十分に落とし込んだシミュレーションが組まれていなければ、原理の詳細は割愛しますが、結論として想定より何年も多く期間がかかった挙句シミュレーションより前歯が前方に並んでしまう失敗や、シミュレーションからの誤差に伴い噛み合わせがむしろ悪化する失敗が起きやすく、いつまでも再治療で終わらない、後悔につながる大失敗をしやすい計画でもあります。
患者様からすると、計画を立てているドクターの計画の予知性や良好な治療完了実績などは知る由も無く、一時期遠心移動ありきのドクター向けセミナー等が主流であったことから、それを受講したドクターによる、「対策が落とし込まれていない遠心移動計画」による失敗をたくさん生み出したのも事実です。
対策と正しいインビザライン矯正①
インビザラインGOが新設され、パッケージが区別された背景には、一般のクリニックでも一般歯科治療と合わせて軽度な矯正治療が可能となるようにと非常に優れたコンセプトによるものと、マウスピース矯正自体が新しい治療であるため、経験不足のドクターのよる治療計画において難症例で無いにもかかわらず上手く治療を遂行できないケースが全国で多数見られたため、それを補うためのものと考えられます。
全ての歯をドクター自身が手動でシミュレーション可能なインビザライン・フル、インビザライン・ライト等を扱うライセンスは、基本的に矯正治療経験5年以上であることが条件とされるようになり、インビザラインGOのライセンスを同時に持つことはできません。
インビザラインGOは、基本的にインビザライン・フル、インビザライン・ライト等を扱うライセンスを取得する条件に満たないドクターが、極軽度な前歯の問題の改善に限定した部分矯正を行えることを主旨としたインビザラインライセンスとなり、ドクター自身でシミュレーション(治療計画)を手動で組むことができず、インビザライン・フル、インビザライン・ライトのパッケージを一切扱うこと自体できません。
基本的にはドクターが患者様の歯並びを判断し適切なシステムをお伝えすべきものですが、明らかに適応でもない歯並びにインビザラインGOや安価なマウスピース矯正システムを勧められていた事例も多くありますので、矯正をお考えの方には是非これらの情報を知って頂いた上で、カウンセリングで勧められるがまま安価な方を選択し、結果、後悔してしまったということを未然に防ぐために、インビザラインと名前が同じでもインビザラインGOは本格矯正に適応が難しい別の矯正システムであるということを知っておかれる必要があります。ご自身の歯並びがどのシステムを用いて治療されるべきかの参考にされることを願っております。
逆に、ドクターがシミュレーションを組む必要があるインビザライン・フル、インビザライン・ライトパッケージを用いるインビザラインの治療には一つとして同じシミュレーション(治療計画)はありません。治療計画毎に必ずメリット・デメリットがあります。その本当のメリット・デメリットをドクターが十分に理解するまでには相当な類似の症例経験、良好な治療完了経験が必要になります。
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正同様、ドクターが僅か数年で簡単に修得できる技術ではありません。ましてドクターが数日間セミナーを聞いて簡単に結果が出せるようになる治療ではありません。残念ながら、インビザラインにおいて上記の臼歯遠心移動を組み込む計画には多くの注意点やデメリットも存在し、それを本質的に理解できていない(=そのデメリットを技術的に補うことができない)、一時期その内容のセミナーが多かった業界の背景があり、有名な偉い先生のセミナーを聞いたからそのやり方を実践しているのだというレベルのドクターが世の中に溢れています。
これはその経験の浅いドクターが悪いというのではなく、まだインビザラインが新しい治療であること、矯正歯科業界がインビザライン(マウスピース矯正)を未だ十分に適切な検証、評価、導入、ドクター教育の流れが整っていないが故のデメリットとなります。患者様ができる根本的な対策は難しいですが、カウンセリング等で治療契約数(開始数)ではなく、治療完了数が多いクリニックで、ご自身のお悩みの歯並びと近い症例の治療実績等を聞いてみるのも良いかもしれません。
いかなる矯正治療を行う場合でも、術前の精密検査は非常に重要です。クリニックによって検査内容は異なります。歯並びは3次元構造です。マウスピース矯正は歯の動きのシミュレーションも3次元で評価します。従来、矯正の精密検査は2次元のレントゲン写真が用いられてきましたが、やはりそれだけではインビザラインの術前検査としては不十分と感じます。極軽度の症例を除き、マウスピース矯正における精密検査としては歯科用CTで歯槽骨と歯根の3次元的評価を行った上でシミュレーションを作製するのが最善かと思いますので、どのような検査をした後にシミュレーションが作られるクリニックかも参考にされてください。
インビザラインで後悔した例②
嚙み合わせ的にも、歯並びが良くならなかった。むしろ悪化した。
インビザラインの後悔・失敗の原因②
前述①と原理はほぼ同様ですが、インビザラインに限らず、マウスピース矯正業界では、奥歯での適切な噛み合わせが失われ、食事がしにくくなったり前歯に負担のかかる噛み合わせになったりする事例が多発しています。
インビザラインはクリンチェックと呼ばれる3Dシミュレーション作製ソフトを用い、ドクターが歯並びのゴールと、現状からそのゴールまでの動きを作り、そのシミュレーションに従いマウスピースが製造されます。製造されたマウスピースを患者様にお渡しし、患者様は頑張って1日20時間使用し、歯並びが改善していくという流れです。
しかし実際は、マウスピースを1枚使用する度に、数%の誤差が生じます。仮に1枚のマウスピースでシミュレーションの動きに対して97%歯が動いたとしても、1枚で3%、10枚で約27%もの誤差が積み重なって生じてしまい、特に大きな動きがある計画では一見マウスピースが歯に装着可能でも実は100%シミュレーション通りには歯は動いてきていません。
詳しい解説は避けますが、結論から言うと、そのシミュレーション通りではない移動中の歯並びに、シミュレーション通りの形で作られたマウスピースを装着すると、マウスピースは現状の歯並びに沿って変形をし、変形したマウスピースを歯に装着し続けると、さらにシミュレーションとの誤差の大きい歯並びになっていくとういことを繰り返します。これによって生じるよくある結果の1つが、奥歯での嚙み合わせの悪化です。
シミュレーション≠実際に並ぶ歯並び
シミュレーション=あくまで製造されるマウスピースの形状
というのが事実です。
しかし、そのことを認識し、その補正を落とし込んだシミュレーションを作製できる知識と技術を持ったドクターは全体のほんの一握りです。理由は冒頭で書いた通り、まだ新しい治療であることが最大の理由の1つです。
ドクター側のシミュレーション作製の知識・技術不足を主原因としましたが、仮にいかに適切なシミュレーションが作成されていたとしても、患者様の1日20時間の使用時間が守られていないと同じような傾向の失敗が起きますので、使用時間・試用期間は十分ご注意ください。
対策と正しいインビザライン矯正②
ドクター側の適切な治療計画と、患者様側の適切な使用状況が合わさって初めて成功する治療です。
一般的なインビザラインのイメージとして、頑張って使っていれば、どこのクリニックでマウスピースを作ってもらっても同じと勘違いしてしまいがちですが、ワイヤー矯正と同じで、ドクターの知識や技術力によって全く違う結果を生じてしまう治療です。
残念ながらホームページや広告を見ても、本当に実力のあるドクターが治療計画を担当しているかの判断は難しいと言わざるを得ません。インビザラインダイヤモンドドクター等のステータスは参考にはなりますが、あくまで治療を契約(開始)した症例数に応じてインビザライン社から与えられるステータスですので、適切な治療結果をたくさん生み出しているドクターというステータスではないことは頭に入れておいてください。そのステータスの特性を悪用し、モニターで実質無料とインビザライン症例を募り、世界一の症例数を持つダイヤモンドドクターの称号を組織的に獲得し、治療を完了すらしていないのにそれを以て世界一のドクターなどと平気で謳い、更なるモニターを募り、結局返金はされず治療も失敗し放置されるという酷い事件が最近全国ニュースにもなりました。
前述同様、患者様がクリニックやドクターの内部事情を外から知る由は残念ながらありませんので、治療完了数が多いと判断されるクリニックで、ご自身のお悩みの歯並びと近い症例の治療実績等をカウンセリングで直接聞いてみるというのが一番の対策となるかと思います。
インビザラインで後悔した例③
いつまでも治療が終わらない。
インビザラインの後悔・失敗の原因③
一度に何十枚、場合によっては50~80枚以上のマウスピースが計画されて、1~2年以上使ったものの、シミュレーションとの誤差が大きく、再度型取りをし、また何十枚ものマウスピースを使っている、という状態を繰り返している。
極軽度な症例を除き、多くの症例において、マウスピースによる矯正治療は如何なるマウスピースパッケージを用いても1クールで終わりとなることはほとんどありません。
何故なら、前述した通り、1枚のマウスピースを使用する度に、数%の誤差が生じるからです。仮に1枚のマウスピースでシミュレーションの動きに対して97%歯が動いたとしても、1枚で3%、10枚で約27%もの誤差が積み重なって生じてしまい、一見マウスピースが歯に装着可能でも実は歯に適切なフィットをしていないという状態になっています。
そうなると何十枚という多量のマウスピースを1クールで用いると、後半では歯に装着できていたとしても適切な矯正力が歯にかかっていない可能性が高くなる、つまり、矯正効率の悪い期間が非常に長い計画となっている可能性が高くなると考えるべきです。
その結果、シミュレーションの組み方によっては難症例でも無いにも関わらず1クールが一年以上かかったにも関わらず、何度も作り直しの追加クールが必要となり、トータルの治療期間が5年以上かかっているというような話もよく耳にします。
・1日20時間の使用時間が守れなかった。
使用時間が厳守できるかは、クリニック側としてはカウンセリング時によくよく確認しなければならない事項です。もし使用時間が厳守されなかった場合にはどんなに適切な治療計画が組まれていたとしても治療がうまくいかなくなってしまいます。「装置が自分で外せる」メリット、「サボることができる」デメリットはインビザラインの諸刃の剣で、患者様によっては一番のデメリットとなってしまうことがあります。
対策と正しいインビザライン矯正③
いたずらに1クールでの枚数を増やすより、誤差の少ないうちにしっかりフィットするマウスピースを作り替えることで多くの症例で非効率な期間を減らすことができます。
その治療計画のメリット・デメリットを十分に理解し最大限活かすことができるドクターが、複数クールでの治療予測をした上で組むことができれば、比較的多くの症例においてマウスピース矯正における治療期間を大幅に短くすることが可能です。
必ず1日20時間の使用が問題無いことを確認してご契約されて下さい。
使用時間や使用期間が守られていなければ、歯並びの仕上がり自体も矯正終了するまでの期間もエンドレスに悪影響を与えてしまうデメリットとなります。せっかく矯正費用を払い、決意して始められた矯正治療です。良好な結果が出せるように必ず1日20時間の装着時間は確保できるように頑張りましょう。
インビザラインで後悔した例④
後戻りしてしまった。
インビザラインの後悔・失敗の原因④
前歯の接触が強すぎる等、噛み合わせの不具合が解消されずに治療が終わっている。
前述②③での内容を解決できず、嚙み合わせが適切でない状態で終わってしまうと、不適切な咬合接触で後戻りを起こしやすくなってしまいます。
リテーナー(後戻り防止装置)の正しい使用がなされなかった。
矯正後はリテーナーの正しい使用が必須です。矯正後の後戻りはワイヤー矯正であろうとマウスピース矯正であろうと、歯の後戻りの原因は同じです。リテーナーの紛失には注意され、装置に不具合がないか確認しましょう。
対策と正しいインビザライン矯正④
指示された適切な期間、必ずリテーナーを使用しましょう。リテーナーをオプションのような扱いで、必須ではないかのように説明しているクリニックがありますが、リテーナーを用いなければ必ず後戻りしてしまいます。リテーナーの使用に対する注意が十分に無く、まして必須ではないかのように説明をしているクリニックでの矯正は避けたほうが無難かと思います。
ちなみに、歯並びは矯正経験の有無に関わらず、経年的に変化してきます。せっかく矯正を頑張ってきれいになった歯並びですので、歯列の経年的変化や歯の咬耗に対して対策をされたい方は、指示された期間以降も、夜間だけでもマウスピース型リテーナーの使用を継続されると良いかと思います。
インビザラインで後悔した例⑤
虫歯になった、歯周病が進行してしまった。
インビザラインの後悔・失敗の原因⑤
虫歯も歯周病も、原因はプラークコントロール不良です。飲食をした後に、歯ブラシやフロス等での口腔ケアがなされず、そのまま長時間マウスピースを装着してしまうと、唾液での自浄作用効果も低下している状態ですので、虫歯や歯周病の原因菌が増殖しやすく、疾患の発生リスクが増してしまいます。
対策と正しいインビザライン矯正⑤
マウスピース矯正を行う上で、「飲食後の口腔清掃→マウスピースの装着」の厳守は、「1日20時間のマウスピース装着」と同じく、患者様が徹底しなくてはならない最重要事項にあたりますので、必ず飲食後は歯ブラシ、フロス等を用いた口腔清掃を行いましょう。どうしてもできない場合は、口腔内を十分に水で濯いだ後に装着して、口腔清掃ができる環境に移動後に可及的速やかに行ってください。
ネットに上がっている後悔した、失敗したという内容に対して、その原因(インビザラインが悪いわけではない説明)と、正しい治療もしくは歯科医選びができれば防げることを解説してください。
小見出しの数は必要に応じて増やしてください。
治療契約後、色々ネットで調べたりセカンドオピニオンを聞いて不安になった。
クリニック、ドクターによりインビザラインの治療経験、技術、考え方は全く異なります。従って治療計画は1つとして同じものはありません。
残念ながら、いかなるドクターが担当しようと医療行為に100点満点の治療、完璧な治療計画というものは有り得ません。
治療計画毎にメリットとデメリットが必ずセットで存在します。あるドクターが別のドクターの治療計画を見れば、良い側面を見ればいくらでも良いようにその計画のメリットを言えます。逆に悪い側面を見てデメリットを強調していうことも言えてしまいます。
クリニック毎に、ドクターの治療計画毎に考え方や落とし込まれているメリットが違いますので、ネットで得た情報から現在なされている治療に対してご不安になったり、セカンドオピニオンを聞かれたいなと思われるような場合、先ずは必ず通われているクリニックでご心配やご不安を相談されるようにしてください。
インビザラインで後悔しない正しいマウスピース矯正治療による失敗対策
残念ながら、ネットの広告、ホームページを経験のあるドクターが見ても、そのクリニックが適切な治療計画を組めるだけの経験を持っているかを判断することは困難です。
前述の通り、インビザラインドクターのステータスとして「プラチナ」や「ダイヤモンド」等を掲げているクリニックもあり、インビザライン症例経験数が多いクリニックの参考の1つになるのですが、注意点もあります。前述した通りですが、それらのステータスは、あくまでインビザライン社にマウスピース製造の発注がされた数、つまり「治療開始」した年間の症例数に応じた称号であって、「治療完了」した数ではないですし、ましてうまく治療が完了した実績を称えるものでもありません。この制度を悪用したモニター詐欺の全国ニュースの事件は同じ業界のドクターからすると本当に腹立たしいものです。
しかし、人気の高い治療で、導入し始めたばかりのドクターも多く、また、導入してから数年経つクリニックでも、年間で10症例も始められていないというクリニックが大半というのが事実ですので、「治療開始」数のステータスは現在のところ、参考にはすべき材料ではあるかと思います。実際は、治療完了まで数年かかるとすると、何百、何千症例と「治療完了」を経験しているドクターはまだほんの一握りです。
インビザラインで後悔しないための正しい知識とインビザラインをおすすめしないケース
インビザライン、ワイヤー矯正問わず、骨格的な問題を含めて改善が必要または望まれるケースではそれだけでは改善は困難です。
例えば、アントニオ猪木さんのように上顎骨に対して下顎骨の過成長が見られるような場合に、下顎の突出感の改善を望まれていたとしても、歯並びだけどんなに治療しても下顎は後退してくれません。骨格的な問題を含めて改善が必要または望まれるケースでは、外科的な骨切りを併用した矯正治療が必要となります。
また、骨や歯茎の中に埋まっている歯を引っ張り出して矯正を行う計画を採用する場合にも、インビザライン単体では治療困難ですので、ワイヤー矯正や外科的な治療の併用が必要となります。
インビザラインで後悔しないための正しい知識とインビザラインのメリット・デメリット
冒頭でも書きましたが、インビザラインは世界中で最も実績のあるマウスピース矯正であり、適応である患者様にとっては非常にメリットの多い矯正治療が可能となることに間違いありませんが、どんな治療も100点満点の治療はできませんし、必ずメリットだけでなくデメリットが存在します。それを正しく理解された上で、治療法を選択しなくてはなりません。
インビザラインのメリット
- 自分で取り外しができる
- 痛みが比較的少ない
- 食事や口腔清掃が比較的しやすい
- 通院頻度が少ない
ワイヤー矯正が急患対応を含めると月に1~2回の通院が必要であったことを考えると、3~4か月に一度のペースで可能になったことは非常に大きなメリットかと思います。
- 治療期間が比較的短くなるケースが多い
ドクターによる適切な治療計画、患者様の適切な使用時間・使用期間があることが前提となりますが、健康な歯の抜歯を避ける計画が組みやすく、治療期間を大きく短縮できる症例が多くなりました。
インビザラインのデメリット
- 新しい治療であるが故に、経験が少ないドクターの割合が多い。
お伝えしてきた通り、インビザラインは治療計画が未熟であると、歯が適切に動かない、噛み合わせがおかしくなる、出っ歯気味に仕上がる、治療がいつまでも終わらない等、様々な「よく言われる失敗・後悔」が非常に起きやすくなる治療です。これまでネット上でよく言われてきた、インビザラインのネガティブな結果が、インビザライン自体によるデメリットではなく、実はドクター側の未熟な治療計画が大きな原因としてある場合も大いにあることは、患者様にとってはショックであることに違いありませんが、インビザラインが新しい治療であるということから必然的に挙がってくる、最大のデメリットの一つです。ドクターが講習を受けただけで次の日から上手にできるようになる治療ではありません。
- 1日20時間の装着が必須
いかに適切な治療計画が組まれていたとしても、使用時間や使用期間が守られていなければ、治療はうまくいかなくなってしまいます。それにより、歯並びの仕上がり自体も矯正終了するまでの期間もエンドレスに悪影響を与えてしまうデメリットとなります。
使用時間が厳守できるかは、クリニック側としてはカウンセリング時によくよく確認しなければならない事項です。もし使用時間が厳守されなかった場合にはどんなに適切な治療計画が組まれていたとしても治療がうまくいかなくなってしまいます。「装置が自分で外せる」メリット、「サボることができる」デメリットはインビザラインの諸刃の剣で、患者様によっては一番のデメリットとなってしまうことがあります。マウスピース矯正をご検討される方は、必ず1日20時間の使用が問題無いことを確認してご契約されて下さい。
- 毎飲食後の口腔内清掃が必要
飲食後、そのままマウスピースを装着してしまうと、唾液による自浄作用が行き届きませんので、必ず飲食後は口腔清掃を行って装着をしてください。これまで毎食後の口腔ケア習慣がなかった方には、最初は大変かもしれませんが、良好な口腔ケアへの習慣を身に着けるきっかけに、また、必要以上の間食を抑えるきっかけとなりますので、ポジティブに考えられるとメリットに転じることもできますので、やるからには頑張って習慣付けていきましょう。
インビザラインで後悔しないための正しい知識。インビザラインの矯正治療はつらい
つらいかつらくないかは一概には言うことは難しいですが、私が治療する側、また治療を受けた経験者として感じたことはいくつかあります。
毎日20時間以上の装置使用が必須である点は、これまでの多くの患者様のご感想から、2週間くらいで慣れてきたというお話をよく聞きますが、逆にそれまでは異物を慣れない状態で、程度は様々ですが違和感を伴う状況下で歯に装着し続けるわけですから、楽であるとはとても言えないと思います。ワイヤー矯正でも自身でゴムをかけておく必要がある等、自己管理はどの方法を選んでも必要にはなりますので、矯正をお考えの場合、やるからにはより良い自分の未来を目指して頑張ろうと、その点は覚悟が必要かと思います。
矯正中の痛みの程度という点で言えば、従来のワイヤー矯正と比較した場合には、双方の多数の治療経験者からお話を聞くかぎり、マウスピース矯正はかなり痛みが軽減されているように感じます。私自身も両方の経験がありますが、ワイヤー矯正時の歯のガタガタの程度が大きかったのもありますが、歯が動いている期間中の大半の期間が食事をすることさえ辛かった記憶があります。マウスピース矯正は痛みというより、新しいマウスピース毎に2日くらい締め付けられる感覚があるという感じで、痛みによる辛さという点では比較すると優秀に感じました。
また、日常の食事のしやすさ、歯磨き等の口腔衛生管理のしやすさという点については、ワイヤー矯正と比較した場合には圧倒的に大変さは軽減されたかと思います。
インビザラインで後悔しないためのまとめ
まとめとして、インビザライン治療で後悔するかしないかは、様々な要因がありますが、
- ドクター側の検査精度やシミュレーション(治療計画)への技術の落とし込みに大きく依存してしまう。
- 患者様側の使用時間の厳守や口腔衛生管理の徹底にも大きく依存してしまう。
多くの場合、この2点がインビザラインの失敗、後悔につながる本質的な要因と考えられます。
インビザラインの後悔に関してマウスピース矯正業界の実情を踏まえて、ドクターの視点寄りの記事となり、具体的にこう対処すれば全ては解決できると言うのは難しい内容ではありますが、適応の患者様にとってマウスピース矯正は間違いなく非常に有用な装置と言えますし、ドクター側としても今後の発展にも大きな期待があります。この記事がインビザラインをお考えの方のご参考になり、ご自身の歯のお悩みが解消されるきっかけとなればと願っております。
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監修歯科医師
湊 寛明
私立 広島学院高等学校卒業 国立 九州大学歯学部卒業・歯学学位取得 九州大学病院研修医 終了 埼玉県 オレンジ歯科クリニック 栃木県 丹野歯科医院 山口県 みなと歯科医院 副院長 大手矯正歯科グループ 院長 ピュアリオ歯科・矯正歯科 田町三田院 設立 医療法人社団ピュアスマイル設立、理事長就任 日本矯正歯科学会日本成人矯正歯科学会/日本舌側矯正歯科学会/世界舌側矯正歯科学会/ヨーロッパ舌側矯正歯科学会/国際インプラント学会/日本口腔インプラント学会/日本歯科審美学会/日本歯周病学会/日本臨床歯周病学会/日本補綴歯科学会/日本口腔外科学会/日本アンチエイジング歯科学会
ご挨拶
誰もが憧れる白くて美しい歯で、個人の魅力を最大限に引き出し、 一生涯、歯の疾患で歯を一本も失うことのない未来を創る。
歯の見た目の美しさはもちろん、人が一生涯、長期的かつ健康に機能できるものとなるように、かみ合わせも力学的に良好な治療を考え、総合的な歯科の知識と予防的な概念で治療をしていくのが本当の矯正・矯正歯科治療です。 歯科治療は医療の中でも、医師の考え方や感性・技術、医院の設備によって結果が大きく変わる業界です。 既に神経の治療がされていたり、見た目や適合の悪い大きな被せものが入っていれば話は別ですが、美しさを手に入れるためだけに必要以上に健康な歯を削り、神経を取ってまで無理やりセラミックの被せものをする必要はありません。 患者さまの望む最大の効果を合理的で正しい考え方と治療方法で結果を出すとともに、生涯歯の健康を維持しそこから全身の健康につなげていただけることが何より大切だと思っています。 患者さまのお悩みやご要望をお聞きし、最善の結果となるよう治療をご提案いたします。