歯列矯正を検討されている方には、裏側矯正の値段が気になる方も多いと思います。歯の裏側に矯正装置やワイヤーを取り付ける裏側矯正は、仕事中でも目立たないので人気です。
実際に「裏側矯正の費用って、いくらぐらいが相場ですか?」「他の矯正治療方法と比べて費用差がどれくらいありますか?」といった質問が多く寄せられます。
裏側矯正の値段は、クリニックによって異なりますが、歯列矯正の中でも高額です。だからこそ、その金額の相場を事前に知っておくことは大切です。また、費用を安く抑えるポイントもあります。
この記事では、裏側矯正(舌側矯正)にかかる費用の相場や、安く費用を抑えるポイントを解説します。
この記事でわかること
裏側矯正(舌側矯正/リンガル矯正)の値段の相場とは?
1-1. 裏側矯正とは
裏側矯正は、歯の裏側に「ブラケット」と呼ばれる装置をつけます。そして、そこにワイヤーを通して歯並びを整えます。「舌側矯正」や「リンガル矯正」とも呼ばれています。
1-2. 裏側矯正の値段の相場について
裏側矯正の矯正装置は技術の難易度が高いため、表側矯正の料金と比べると、1.5~2倍ほど割高に設定されています。例えば裏側矯正の費用目安は、全体矯正で100万~170万円、部分矯正で40万~70万円前後です。
◆費用総額
・ハーフリンガル/110~135万円
・フルリンガル/130~165万円
フルリンガルは、上下顎全ての裏側に装置をつけます。一方ハーフリンガルは、上の歯は裏側に、下の歯は表側に矯正装置をつける治療方法です。ハーフリンガルは上の歯の裏側にしか装置を付けず、発音や舌への不快感も軽減できます。
この他に、1ヵ月~1ヵ月半ごとにワイヤーにかける力の微調整が必要になります。その調整料金の相場は、5,000~7,000円(税込)ほどです。
裏側矯正の値段が高い理由
裏側矯正の値段が高い理由には、大きく3つの理由があります。ここでは、それぞれについて解説します。
2-1. 矯正装置はオーダーメイドだから
裏側矯正の装置は、患者様ごとに全て形が異なるオーダーメイドです。例えば裏側矯正は、歯の裏側に装置を取りつけます。この歯の裏側は凹凸になっており、形が非常に複雑です。そのため、患者様一人一人に合わせた装置を作る必要があり、大変な手間がかかります。
2-2. 1回あたりの治療時間が長い
1回あたりの治療時間が長いのも、裏側矯正の大きな特徴です。具体的には、歯の裏側に装着する時間がかかり、はずした時に次の装着の位置決めも厳密に行います。またワイヤー調節の時間がかかることもあります。
2-3. 矯正技術の難易度の高さ
裏側矯正には、専門性の高い技術が求められます。具体的には、子どもの矯正<大人の矯正(表側矯正)<大人の矯正(裏側矯正)になります。歯の裏側は、表側と比べると複雑です。
例えばブラケットポジショニングといわれる矯正装置の位置づけは、非常に難易度の高い技術です。それほど高い技術が求められるため、裏側矯正を行っていないクリニックもあります。
裏側矯正の値段・費用を抑える方法
裏側矯正の費用は、必要とされる技術の難易度が高く、治療時間もかかるため、高額です。しかし、その費用を抑える方法があります。ここでは、その方法について解説します。
3-1. トータルフィーシステムを採用しているクリニックを選ぶ
トータルフィーシステムとは、総額固定料金制のことです。具体的には、治療に入る前に支払う費用の総額を提示してもらえます。提示された治療費が変わらないので、追加支出の心配なく安心して治療を受けることができます。
ただし、その治療費がどこまでの範囲なのかを事前に確認しておくとさらに安心です。例えば、総額は全ての作業が含まれるのか、ワイヤー微調整作業は別途費用が発生するのか等、事前に確認しておきましょう。
3-2. ハーフリンガル矯正や部分矯正を検討する
ハーフリンガル矯正は、上の歯は裏側に、下の歯は表側に矯正装置をつけます。この治療方法は、裏側矯正よりも費用が抑えられるので、検討する余地はあるでしょう。
また歯並びの一部だけが気になる場合、部分矯正も選択肢となります。例えば裏側矯正から部分矯正に変更した場合、費用が半額程度に抑えられる可能性があります。ただ全体の仕上がりに不満が生じるリスクもあります。
ご自身の希望をしっかりドクターに伝え、予算と仕上がりのバランスを検討した上で選択することが大切です。
3-3. 食事内容や通院頻度を遵守する
矯正治療期間は、医師の指示を遵守することが大切です。例えば医師が指示する食事内容を守らなかった場合、口内が腫れたりして、治療期間が延び、追加費用がかかる可能性があります。
また決められた通院日を守って通うことも大切です。このように、医師の指示を守ってスムーズに治療を進めることが重要です。
3-4. 医療費控除の制度を活用する
医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円(年間の総所得が200万円以下は、所得金額×5%)を超えた場合、確定申告をすれば、所得から差し引かれた分の税金が戻ってきます。
例えば見栄えを良くする審美目的などで行う矯正費用は、医療費控除の対象にはなりません。ただし、咀しゃく改善など機能回復が主な目的である矯正は、医療費控除の対象になる場合があります。舌側矯正の場合も同様です。
必要な手続きとしては、医療費の領収書と診断書を、確定申告書と一緒に税務署に提出します。この時の診断書は、咀しゃく改善など機能回復が主な目的であることを示す正式な診断書であることが必要です。
3-5. モニター募集をしているクリニックを利用する
クリニックによっては、矯正モニター募集を行っていることがあります。モニターに応募し採用されると、治療の経過の様子をWebサイトやSNSへの掲載を条件に、割引価格で受けられます。
顔写真や氏名が掲載される可能性もあるので、事前に詳細を確認しておきましょう。
ただし実質無料を装った詐欺事件なども世間を賑わせておりますので、信頼できるクリニックをお探し方はこちらの記事もご参考にしていただければ幸いです。
裏側矯正のメリット
4-1. 周りに気づかれずに歯列矯正ができる
通常の歯列矯正では、どうしても会話時にワイヤーや矯正装置が見えてしまいます。しかし裏側矯正の場合、歯の裏側にブラケットと呼ばれる装置をつけるため、歯列矯正治療中であることを気づかれにくいのが最大のメリットです。
日常生活で写真を撮る時や、結婚式や卒業式など重要な写真を撮る予定がある場合、裏側矯正を検討してもいいでしょう。また職業的に表側の矯正はNGな方や、目立つ矯正ができない方も裏側矯正であれば大丈夫です。
4-2. スポーツ時に口腔内を傷つけることがない
表側の歯列矯正をしていると、スポーツで激しくぶつかった時に、矯正装置で口腔内を傷つけてしまう可能性があります。一方裏側矯正の場合、そういったリスクはありません。
4-3. 虫歯になりにくい
裏側矯正は表側矯正と比較すると、虫歯になりにくいという傾向があります。その理由としては、装置が歯の内側の面全体覆うので、虫歯菌が進入しにくい構造という点があります。
また裏側の方が表側よりも歯の表層のエナメル質が厚いので、虫歯に対する抵抗力が強いという側面もあります。そして歯の裏側の方が唾液が循環しやすく、唾液の洗浄作用により、虫歯になりにくいことが判明しています。
4-4. 歯の表面のエナメル質が傷つきにくい
矯正治療中や矯正装置を外すときに、歯表面のエナメル質を傷つけてしまうトラブルがあります。これを、エナメルクラックといいます。エナメル質は歯の表側よりも裏側の方が厚いので、裏側矯正の方がエナメル質を傷つけるリスクは低いといえます。
裏側矯正のデメリット
5-1. 料金が高い
裏側矯正は、表側矯正に比べると費用は高くなります。具体的には、ハーフリンガル(上だけ裏)ので20万~30万円程度、フルリンガルで40万~60万円程度、料金が高くなる傾向があります。
裏側矯正の装置は、全てオーダーメイドです。患者さんの歯1本1本に全て合わせて作り、調製技術も格段に上がります。
5-2. 話がしくくなる
矯正装置を装着すると、装置とこすれる部分に炎症が発生する可能性があります。裏側矯正の場合、口内炎ができる可能性があります。そのため、話しをするときに苦痛になります。特に下顎の一番奥歯につけた場合、舌の根元部分で口内炎ができやすい傾向があります。
ただし最初の1ヶ月ほど経過すれば、問題になることはほぼありません。裏側矯正をされるお客様は、司会業などの人前に出て話す仕事の方が多いですが、問題なく治療できています。
5-3. 歯磨きが難しい
裏側矯正の治療中は、歯の表面もしくは裏側にブラケットやワイヤーなどの装置をつけます。その結果、装置のまわりや歯の表面との境目には汚れがたまりやすくなります。また歯ブラシの毛先も届きにくく、何となく磨くだけでは汚れがしっかりと落ちません。
しっかり歯磨きする箇所としては、バンドと歯ぐきの間に僅かに生じる隙間があります。またワイヤーが通っている箇所の歯と歯の間、ブラケットの周囲なども汚れがたまりやすいので、しっかり磨く必要があります。
5-4. 表側に装置が付くことがある
裏側矯正であっても、奥歯の外側に表側矯正のような装置がつくことがあります。また犬歯の外側にも、歯と同色のプラスチックの突起を装着することがあります。前歯に金属を装着することはありませんが、歯と同色のプラスチックや、奥歯の見えにくい部分に針金や装置をつけることがあります。
裏側矯正の費用と治療期間
裏側矯正の費用はフルリンガルで~170万円、ハーフリンガルで~70万円かかり、費用は症例やクリニックによって異なりますが、裏側矯正は表側矯正に比べて高くなる傾向があります。
裏側矯正が高額になる理由
1.オーダーメイドのブラケットを使用するから
歯の表側は凹凸がほとんどなく滑らかになっていますが、歯の裏側は反り返っていたり、へこみがあったりと一人ひとり異なる特徴があります。そのため、裏側矯正ではオーダーメイドのブラケットを使用します。
オーダーメイドのブラケットは、歯型を取った後、矯正専門の技工所で製作されます。手作業による製作のため、費用は高額になりやすいです。また、ワイヤーに関しても既製のものではなく、一人ひとりの歯並びに合わせてワイヤーを曲げるクリニックもあります。その場合、長年の経験を積んできたドクターが行うため、おのずと費用は高額に。
2.高い技術力が必要になるから
裏側矯正は、ドクターの高い技術力を必要とする難しい矯正方法です。裏側矯正は歯の裏にブラケットをつけるため、裏側からアプローチする必要があります。しかし、歯の裏側は見えづらく、なおかつ正確に配置しなければなりません。
裏側矯正の治療期間
裏側矯正の治療期間は、症例にもよりますが、奥歯を含む全体で1年半〜3年程度かかると言われています。
裏側矯正の値段と注意点まとめ
裏側矯正の値段と注意点まとめをまとめると、以下になります。
・裏側矯正(舌側、リンガル矯正)とは、歯の裏側にワイヤーとブラケットと呼ばれる矯正装置を装着し歯列を綺麗にする矯正治療
・裏側矯正の費用相場は、ハーフリンガルで~135万円、フルリンガルで~165万円
・裏側矯正の一番のメリットは、話をしても装置が見えず、治療中でも人に気づかれない
・裏側矯正のデメリットは、料金が高く、話がしくくなる
・裏側矯正の矯正装置は、患者様一人一人に合わせて作るオーダーメイドで技術難易度は高く、表側矯正の1.5~2倍の費用がかかる
もし少しでも裏側矯正に興味をお持ちであれば、気軽にクリニックのカウンセリングに予約して、相談してみてはいかがでしょうか。
司会業や芸能界で活躍している多くの方々も利用されているので、裏側矯正はかなり普及してきているといえます。また裏側矯正は、表側にブラケットをつけない分、目立たない等のメリットがありますが、費用が高額、定期的な通院、痛み、治療期間などにデメリットを感じる方もおります。
そんな方は是非マウスピース矯正もご検討されてみてはいかがでしょうか。
当院は世界1400万人以上が使用するインビザラインにおいて日本国内12000人以上いるインビザライン認定ドクターの中で上位0.1%に入るダイヤモンドプロバイダーの称号を得ています。
マウスピース矯正でも自分の歯並びは改善できるのだろうか?という疑問をお持ちの方は是非無料カウンセリングへお越しください。
またマウスピース矯正については最近よくないニュースもございます。
信頼できるマウスピース矯正クリニックをお探しの方はこちらの記事もご参考にしていただければ幸いです。
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監修歯科医師
湊 寛明
私立 広島学院高等学校卒業 国立 九州大学歯学部卒業・歯学学位取得 九州大学病院研修医 終了 埼玉県 オレンジ歯科クリニック 栃木県 丹野歯科医院 山口県 みなと歯科医院 副院長 大手矯正歯科グループ 院長 ピュアリオ歯科・矯正歯科 田町三田院 設立 医療法人社団ピュアスマイル設立、理事長就任
ご挨拶
誰もが憧れる白くて美しい歯で、個人の魅力を最大限に引き出し、 一生涯、歯の疾患で歯を一本も失うことのない未来を創る。
歯の見た目の美しさはもちろん、人が一生涯、長期的かつ健康に機能できるものとなるように、かみ合わせも力学的に良好な治療を考え、総合的な歯科の知識と予防的な概念で治療をしていくのが本当の矯正・矯正歯科治療です。 歯科治療は医療の中でも、医師の考え方や感性・技術、医院の設備によって結果が大きく変わる業界です。 既に神経の治療がされていたり、見た目や適合の悪い大きな被せものが入っていれば話は別ですが、美しさを手に入れるためだけに必要以上に健康な歯を削り、神経を取ってまで無理やりセラミックの被せものをする必要はありません。 患者さまの望む最大の効果を合理的で正しい考え方と治療方法で結果を出すとともに、生涯歯の健康を維持しそこから全身の健康につなげていただけることが何より大切だと思っています。 患者さまのお悩みやご要望をお聞きし、最善の結果となるよう治療をご提案いたします。